voice of mind - by ルイランノキ


 シャットダウン54…『三人の旅2』

 
「選ばれし者は歩くの嫌いな人がいいなぁ」
 と、怠い足を引きずりながら歩くカイ。「そしたら『仕方ありませんね』とルイがワート魔法を……」
「そのような歩き方をしていると、余計に体に負担がかかって疲れてしまいますよ」
 そう言いながらスタスタと歩くルイ。まるで早朝ウォーキングをしている人のようで、とても歩き慣れていないとは思えない程姿勢が良い。
「だぁって、だーるいんだもーん……」
「怠いと思うから怠いのです」
「その先生みたいな言い方やめてくれるぅ? あ、ルイはさぁどんな人がいい? 共に旅する勇者!」
「闇に包ませた未来の世界に光を射してくれるのなら、どんな方でも構いませんよ」
「モンスターみたいな奴でもー? 目玉が沢山あって喋り方が『よろしくだゲブゥ』とか」
「ゼンダさんから聞きましたが、ギルトさんが見たグロリアの光は眩しいほど強く、でも暖かな優しい光だったと」
「強い光なのに暖かな優しい光? 矛盾してない?」
「目で見ただけでなく、そう感じ取ったのだと思います。──素敵な方なのでは?」
「素敵な方かぁ! たぁーのしみだゲブゥー。シドはどんな人だと思うー?」
 と、先頭を歩くシドに投げかけた。
「大男だな」
「横に? 縦に?」
「両方」
「あー、なんかわかる気がする。『俺が来たからにゃ、もう心配ご無用だぜ!』って感じの!」
 そう言って、カイは大男をイメージしてがに股でドシドシとゴリラのように歩いた。
「なんか感じわりぃなそれ……」
 
──まだ見ぬ希望の光に期待が膨らむ。
闇に包まれる日が来るなど、澄んだ青空からは想像つかなかった。
風が草木を揺らし、擦り合って流れてくる緑の香りが漂う。
 
3人は、最終的に一つの道へと繋がる最短ルートを調べながら、体を整えていった。
 

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©Kamikawa
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