voice of mind - by ルイランノキ


 シャットダウン55…『声涙』◆


 
──あの時のことは正直よく覚えてないんだ。
 
散々迷惑かけといて申し訳ないけど、
シドが言っていた通り、ほんとにイカレてたんだね。
 
でも彼の話はちゃんと覚えてる。
タケルの話。ちゃんと覚えてるよ。
 
この時はまだ知る由もなかった、
ルイ、カイ、シドに黙ってひとりで起こしたあなたの行動。
残された私たちへのメッセージ。
どんな思いでそれを託してくれたのか
後になって知ることになる。
 
私の目を見据えて放ったあなたの言葉、思い、無駄にしたくないって思った。
本当だよ。
 
だけど
 
怖いんだ どうしても
怖くて怖くて仕方がないんだ
呼吸を繰り返すだけでも怖くてまた狂いそうになる
 
 
誰が今の私を見て信じてくれるのだろう  
私もまた自分に疑心を抱いてる
 
それでも貴方は私を理解しようとしてくれた
少しでも救おうとしてくれた
でもきっと貴方も同じ理由なのかな。
 
あいつが言っていたように、きっと
私が仲間の誰かを殺したとしても
みんな“仕方ない”と言うんだ。
 
私を見ている人は、いないから。
 
あなたはどう思う?
タケル
私の正しい選択肢はどれだと思う?
 
 
戻れば 私が 全てを 壊してしまうかもしれない
だけどまだ性懲りもなく 孤独を感じてる。
 

第十二章 シャットダウン (完)

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©Kamikawa
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