■Secret BAD END


屋敷内に新築された別宅は
咲き誇る薔薇の園に囲まれている
陽が差し込む廊下を進み階段を降りると
秘密の地下室があった

見た目は牢屋と言った方が正しいのかもしれない

そこへ辿り着くには巧妙な隠し扉を
潜り抜けなくなくてはならず
その存在を龍臣とある身内以外は知らない

「アン…今日も綺麗だね」

窓も無い僅かな電灯の光が灯る二十畳ほどの部屋で
隅っこのベッドに透明なガラスケースに入れられた
小さな影が起き上がった

『…たつ、お…』

アンの細い手足には太く頑丈な鎖
行動範囲はその鎖やケースによって制限されている
僅かなベッド上の空間がアンの全て

暗闇の中気配を察したのか龍臣が歩み寄ると
アンは自分の指をピクリと動かし
手探りで龍臣のカラダを求めた

『たつおみ、さ、ん…』

「よしよし、今日も私に
可愛い鳴き声を聞かせてね」

透明なケースを開き、手枷を外してやると
自分の胸に青白い頬を擦り付けて甘えてくる
龍臣はそんなアンの頭を撫でながら
細長く腰まで伸びる黒髪に指先を絡ませた

すると、アンはまるで全てを
見透かしているかのように
隆臣に冷たく微笑みかける

今から始まる行為に、自分の正体にーーー

頬を赤く染め健気な笑顔に満ち溢れていた
いつかのアンを時々思い出す
そんな記憶を掻き消すかように
アンの首に両腕を回し
龍臣は一日中求め続けていた唇を貪った

隆臣は上物のスーツをそこらに脱ぎ捨てて
アンを覆い尽くすようにかぶさった

細い喉に噛み付き下へ下へと舌を這わせ
柔らかな乳房に吸い付くと甘い声を漏らす
この部屋が音を反響させるせいで、より一層
甲高い甘ったるく鼓膜に響くアンの声

「…アン、おまえは誰のモノだ?」

龍臣は一旦手を止めて、再確認するように
毎回決まったように問いかける

中途半端なところでお預けにされたアンは
口をつぐんだまま艶めかしく腰を揺らし
上目使いで可愛くおねだりをする

肌に何も身につけられていないアンが
唯一男を誘惑できる方法は
とびっきりの仕草や言葉

『私は、たつお…み、さ…まの、モノです…っ!』

「よし、素直に言えた褒美だ
今日もお前の大好きなものを
存分にくれてやろう…っ!」

慣れたはずの自分の孔を貫くその大きさに
アンは毎回驚いて咄嗟に腰を引いてしまう
龍臣はそんなアンの逃げる腰を許さず
引っ掴んでさらに奥へ奥へと突き刺した

『あっ、おっ…き…や、ぁっ!壊れ、ちゃ…っ!』

最奥にあるはずの子宮口に
ゴツゴツと自身の先端が当たり
その度にヒクヒクと胎内を
ギュッと絞るように締め付けるアン

その膣の具合の良さは
何度欲を吐き出しても変わらない

男というものは一人の女に
ここまで執着できるものなのだろうか


見るも美しく成長したアンの評判は
やがて芸能界や国境を越え、海外にまで広がり
桁違いの金持ちや石油王、一国の王子までもが
アンを欲するようになった

そもそも社交界にデビューさせたのが失敗だった
半ば強制的に参加させられた異国のパーティでも
ニコニコと微笑みながら何人もの男達に愛想を振り撒く
アンを遠くから眺めるのは、苦痛でしかなかった

男達は次第に誰がアンを手に入れるかを
争い合うようになっていった
それは暇潰しのゲームか、自己満足のステータスなのか

そんな面白くない状況に
この私が黙って指を咥えて見てろとでも?

今更アンを誰が取り合うだって?
アンは紛れもなく私のモノで
厳重な保護下に置かれた所有物でもある

気付けば毎日そんなことばかり考えて
いつしか私の頭にはアンのことだけが浮かび
他のことが何も手に付かなくなっていて

私が悶々と頭を悩む間にもお前は
沢山の欲深い男達の視線を集め
その輝きは美しく増していくばかり


ーだから、私が壊してしまったのかもしれないー


誰の目にも触れないように
屋敷内の奥深くへと閉じ込めて

「私…実は昨晩のパーティで初恋の相手の…ユウ…
今は佑真っていう同い年の幼馴染みに再会したんです
今はトップダンサーで海外の有名アーティストのバック
なんかやってるらしくて…もう私感激で…っ!」

ある朝二人っきりの別宅で朝食を口にしながら
初恋相手を想い顔を真っ赤に染めて
そんな会話を始めたアンに私の中で何かが弾けた

『嫌ぁっ!どうしてですか!?
どうしてこんなこと…っ!』

泣き叫ぶアンを今は使われていない
別宅の地下室と連れ込み一晩中犯した

そして、身内にも極秘に急いで隠し扉まで作らせた

籠の中の鳥と化したアンは日に日に弱っていき
始めは軽い吐き気や眩暈から極端な食欲減少
ついには一切の食べ物を拒むようになってしまった

自分の支配欲はアンの心まで蝕んでいったのだ

「アン、食事を持ってきたよ
さぁテーブルで一緒に食べよう…」

無表情で大きな瞳が龍臣の視線を捕える
差し出された大きな手を私は冷たく突き返し
地下室の白い壁に自分で描いた夜空に浮かぶ
三日月をふと見つめた

三日月を何気なく眺めていると
幼い頃の記憶がほんの少し舞い戻って気が楽になる

『龍臣様、今はお腹…空いてません…』

「そんなこと言ってこの一週間、ほとんど何も
食べてないじゃないか?倒れられても困るよ…」

白々しいような龍臣様の言葉に吐き気がする

本当に私の身体の心配をしているなら
あんなに何度も乱暴に抱くはずがないのに
無理矢理椅子に座らされてスープを口に注ぎ込まれた

テーブル越しに迫る気配にアンは立ち上がり
ベッドの隅に隠れ柵を強く掴んだ
やっぱり今日も何も口にしたくない…

『もう…来ないでっ!ここから出して下さいっ!』

「いきなり声を荒げてどうしたんだ?
私はいつもアンのことを思い
最善の努力を尽くしているというのに…」

『だったら、どうして…っ!』

私は一年もの間
この地下牢のような部屋で監禁され続けている
龍臣様は毎晩行為の為に訪れるだけで
新しい新居だと言っている

私達の関係は良好だったはず
大好きなご主人様と毎日広いお屋敷に一緒にいて
過ごした日々は大切な思い出で記憶に残っている
なのに、どうして私は今…

「…アン、おそらく食欲がなかったり
気分が悪いのは、私達の子供を胎内に宿したからだよ」

『…っ?!どうし…て…?!』

お腹に手を置きながら心から祝福の笑顔に対して
アンは愕然としていた

20歳になるまでは避妊を徹底づけられて
ピルを毎日くれて服用していたはずなのに
子供はアンが20歳になっても
気持ちが自分に向くまで待つと断言していた

「私も最近やっとアンの妊娠に気が付いたんだよ
なんせアンの体は、中々子供が出来にくい
体質だったみたいからね」

『は…何を言ってるの…ですか?』

「アン、もうお前は一人の体じゃないんだ
言ったろ?”20歳”まで待つって、大体の出産予定日が
20歳の誕生日までに間に合うように…
これでもちゃんと考えたんだよ」

『こ、これ以上…私に近付かないでください…っ!』

毎日飲まされていたのは避妊薬じゃなかったの…?
私が子供の出来にくい体質…?
この人は一体何を言っているの…?

隆臣はワイン色のガウンを脱ぎ捨てると
逃げるアンの両足を絡ませるように掴んだ
足から力が抜けてガクンとベッドへ崩れる
アンの腰を支えながら、下着を素早く剥いで奪った

「お前のその綺麗な肌を隠すようなものなんて
本来必要はないんだがな…もう衣服も要らないな」

俯くアンの顎を掴んで口を塞ぎ
拒む舌を追って口内へと浸入させる
呼吸すら許さない貪るようなキスに
アンは自分には逃げ場すらないんだと実感した

「…あんなに嫌々言ってろくに愛撫もしてないくせに
相変わらずアンのココは
いつもすごくグショグショだね…?」

『…あっ、う…、ふぅ、ん…っ!』

キスの間にも片方の手はアンの無防備で
敏感な部分を弄び、耳元で悪戯に厭らしく煽り立てる

割れ目を上下に軽くなぞるだけで
指先には大量の蜜が絡まる
さらに肉茅を指の腹で強く押し上げてやると
アンはすぐに蕩けるような反応を示す

『やっ!ぁ、ん…っ 龍臣さ…、も、止め…っ!』

嫌々と首を振りながら腰を揺らし泣き乱す
アンに笑みが止まらない
もっともっと自分の手で
アンを狂わせて泣き喚かせてみたい

暫くして濡れ始めた秘部へと
舌を忍ばせてナカをじっくりと味わう

この奥に二人の新たな命が宿っていると思うだけで
昂ぶる感情がおさまらない

弱々しい抵抗しかできないアンの身体を
片腕でいとも簡単に押え付けて
熱くそそり勃つ自身のモノをあてがった

当然今更その前後に避妊する必要など無用

『いやあぁぁあっ!』

「アンは少しの妊娠の可能性も疑わなかったのか?
ずっとこうして避妊具もつけず生で挿入していたのに…」

『それは…龍臣様がちゃんとその為の薬を…あぁっ!』

わざとアンに見せつけるように
鏡の前で座位になり足を開かせがら
龍臣は秘部へゆっくりと肉棒を沈めていく

アンのいまだ小さな穴が拡がって
大きな肉の棒を下からズクズクと飲み込んでいく

激しさを物語る卑猥な水音が反響する空間の中で
アンを逃さないように密着させながら、龍臣は
ラストスパートで、細い腰をギュッと抱き寄せる

揺さぶられるアンの身体がピタリと止まった

『…っ、熱い!』

胎内に伝っていく流れ込む熱い
龍臣の精を感じながら、アンは涙が止まらない
龍臣はナカでゆっくりと掻き回すように
擦り付けながら、抜いたモノを再びわざと見せる

ポタポタと溢れ、滴り落ちていく精液

そうして龍臣は34の歳になっても
一向に衰えを知らない盛る肉棒を
アンの白濁にまみれるナカへと戻した

いつもと変わらぬ繰り返しの行為
そして永遠に感じる長い長い時間

「ハァッ!こうしてお前との愛を深めていくうちに
この胎内に私達の子が出来たんだな…っ!」

ゆるゆると腰を動かし始めた龍臣に
アンは次第に甘い喘ぎを漏らし愛らしく応え始める
最奥のコツコツとした部分を穿いてやると
アンは身を捩らせて苦しげに大きく息を吐いた

アンも絶頂が近いのか、さっきから
キュッキュッと小刻みに締め付けてきて
その感覚が堪らなく狂おしい、壊したいほどに

『あっ、はぁん…!やぁ、ぅ…っ!たつ
お…っ!…たつ…おみ…さまぁ…ん…っ!』

腰を打ち付ける度にアンの膣から流れる液体が
龍臣の腹部を伝ってポタポタと
湿ったシーツから床まで水溜りを作っている

妊娠を明かされた愛の告白に壊れた人形のような
アンの反応がまた堪らない

それから三日三晩、隆臣は我を忘れたように
ずっとベッドで共にしたまま、アンの耳元で
早く私の子供が見たいと囁き続け
何十何百と生中出しを繰り返した

そしてある日
気付いたら脈拍、呼吸、心臓が止まっていた
どうやら私は20年余りの短い生涯を終えたようだ

「…おまえは、誰のモノだ?」

長い長い眠りから覚めたような
今微かに聞えたのは龍臣様の声?私死んだよね?
どういうこと?龍臣様も共に命を落としたというの?

私の中に宿る魂に衝撃が走った

死んだはずなのにはっきりと意識がある
見慣れた部屋のいつものベッド上にいて
シーツを掴んだり手首を動かすことができる

「…お前は誰のモノか、と聞いている」

人の体温を感じる、目覚めの口付け
まるで昨日のように感じる龍臣様の声と
いつもと同じ甘い甘いキスの味

それでも白い壁に描かれていた
月の絵がほとんど消えかけていて
私は少しばかり変わった環境を把握した

よろけた足取りで逃げるアンを
龍臣は壁際へと追い詰めて
ぽろぽろと零す涙を手で優しく拭ってやって

それでもなぜかアンはただただ怯えて
自分に対して顔を背けるのかが分からない

「…分からないなら教えるまでだ
お前が一体誰のモノなのか
お前の初めてを奪ってやった痛みを、再度
その身体にしっかりと思い起こせてやろう…」

『いやあっ!あっ!』

隆臣の老いてもなお逞しい肉体と美貌を保つ姿に
一体どれくらいの時間が過ぎたのか
むしろ謎は深まるばかり

私は見慣れた地下牢獄のような場所で
どうやら生前の姿形をそのまま残した
奇跡の生きたミイラ状態にされたらしい

一人の男の欲望を一方的な性行為を
繰り返し受け入れている毎日

あまりの刺激に意識が飛んで
生前の記憶さえ朧げになってしまいそうで

「残念だな…やはり最高の技術を持ってしても
所詮昔のように何度も吐き出すには保たないか…」

「父様、この方が僕のお母様ですね…
本当に麗しきお姿、お美しい…」

寝かされたまま鎖に繋がった手枷足枷に
全身を透明のガラスのケースで覆われている

周りには決して枯れることのない
造花の薔薇が散りばめられている
自分とそう歳の変わらない美しい母親の姿

アンの目の前には
隆臣様の瞳や髪と同じ色と似たような背格好
まるで若い時の隆臣様の生き写しのような
青年の姿が見える、貴方は一体誰?

「しかし何度見ても飽きませんね…
お父様が毎日のようにここへ
通い詰めたくなるお気持ちも分かります」

「ははは…だろう?そんな妻は生涯私だけを
愛し受け入れていたんだ…まったく私は
世界一の幸せ者かもしれないよ」

人間の吐く息のような吐息が自然と漏れた

自分はこれまでずっと眠ったままだったのか
それとも毎日のように隆臣様をこの場所で
受け入れていて、その記憶すらもないのだろうか

たとえ空っぽの人形でも構わないと
隆臣は息子に微笑みかける

自分が新たに宿したであろう命は私を母と
龍臣様を父と呼んでいた


その息子もまた、父親には内緒で歪んだ欲を
美しい母親にぶつけていた



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