4. 甘い誘拐犯


「初めまして龍臣様、本日から仕えさせて頂きます
水無月 ルナと申します、コーヒーをお持ち致しました」

「ああ…君か、メイドとして派遣されながら
コーヒーなんて淹れたのはどうせ今日が初めてだろう?」

龍臣が印を押したのは
あってないような契約書だった

もちろん中に目を通してはみたが
愛玩具や強制労働者として使ってくれと
言わんばかりのデタラメな文章

注意書きとしては死亡させた場合の埋葬金徴収
公衆の面前での行き過ぎた行為の場合は回収・交換
といった内容だったはず

中庭を一緒に歩いた翌日に、榊 千秋という
まだ自分とそう変わらない歳の劇団代表者が
規約違反としてアンを回収し
ルナとかいう少女を代わりに置いて去って行った

「え〜ひどーい!私こう見えてコーヒー作るのは
プロ級の腕前なんですよぉ?
一度でいいから飲んでみて下さいよぉ!」

ルナにゴリゴリ推し進められるままに
龍臣は仕方なく、コーヒーに口を付けた

「変な味がする…」そう呟いた時には既に遅しで
即効性の強力な淫薬により
自室のベッドへと雪崩れ込んだ

酷い頭痛と身体の疼きがおさまらない

するとルナは龍臣に覆いかぶさりズボンを脱がし
疼いてはち切れんばかりの男根を取り出した

「あんっ…立派なオ◯ンチン…だこと…」

幾千もの男のペニスを見てきたルナでさえ
思わずうっとりと見惚れてしまい
そんな立派なイチモツを見て
ルナのナカがきゅんと疼いた

ルナは自分から口を寄せ龍臣のペニスを咥え込んだ
今の龍臣に抵抗できる力はなく
されるがままに乳首も弄ばれながら

「ぁは…とてもエッチで可愛いですよん…龍臣さまっ」

アン以外の女に身体に触れられるなんて
嫌悪感しかないはずなのに
薬の効力のせいで変な吐息を漏らしてしまう

その上こんな小娘に好きなように
身体を弄ばれてしまうだなんて…


一方アンには再び平穏な生活が待っていた

各地を移動しながら公演して回る日々
主に世話係だがやり甲斐はある

この劇団は元々親がいない子供や売られた子供達が
集まって出来た皆同じ苗字の劇団で
互いにライバル意識は強いが
何より仲間意識としての結び付きが強い

ルナの付き人をしていた気弱だけど仲間思いで
人一倍心優しい少年のユウは
アンの帰りを一際待ちわびていた

「おかえり…アン、初めての”派遣”だったよね?
大丈夫?相手…怖い人じゃなかった…?」

『うん、とっても大事に可愛がってくれた人だったよ』

「ああ…そう、それは良かったね…」

アンと同い年の男であるユウは
多くを話さなくても大体の察しはついている

”大事に可愛がってくれた”つまりそれは愛玩具として

ユウは幼い頃からずっとアンに好意を寄せていて
こんな環境の中でこんな日がくるのも
全部全部分かっていた

「そういやアンが帰ってきたら
プレゼントしようと思って、白薔薇の絵を描いたんだ
部屋にあるから一緒に…来てくれないかな?」

付き人や世話係の所謂下っ端に一人部屋はない
寝床は男女に分けられていて
二段ベッドの内の狭いスペースが自分だけの空間

アンとユウは体を寄り添い合い
一緒に一枚の白薔薇の絵を眺めた

『凄く綺麗…綺麗すぎて、上手すぎて…
なんて言葉にしたらいいか分からないけど…
うれしいっ、ありがとうっ!!!』

目の淵に浮かべるアンの涙をユウが指で拭った
多くは語らないけれど、多くを共にしてきた関係

友達以上恋人未満の二人の関係に
ユウは勇気を振り絞り顔を近付けた

『…えっ?』

「ごめん、堪えきれなくて…
アンの綺麗な横顔見てると
急にキスしたくなっちゃった…嫌だったよね?」

『ううん、べつに、嫌じゃなかった…よ…』

アンは顔を真っ赤に火照らせて
ドキドキしながらユウに言葉を返した
その時丁度タイミング良く夕食の準備に呼ばれ
二人はそれぞれの仕事へと別れていった

その日は結局それからも公演の打ち合わせや練習で
互いに顔を合わせないまま就寝時間を迎えた

それぞれが寝床に向かう中
アンは一人別室へと呼び出されていた

一人の男が用事を終えて
自室の扉を開け室内へ声を掛ける

「おー久しぶりだな、おかえりアン」

自分の呼んだ相手がやって来るまでに
アンはまるで下着のような格好に着替えて
男の帰りを出迎える”お決まり”

久しぶりにハードな仕事で歩き回り
アンの身体は疲れ切ってしまい
ふらふらとした足取りで男に近付いていく

「もうちょい過激なのくらい着ろって言ったろ?
この赤いレースのTバックなんてどうだ?
ははっ…お前にはまだ早すぎるか」

男はベッド際に鞄を置いてズボンのチャックを下ろし
すでに半勃ちになっているペニスを取り出した

ベッドに腰掛けアンの目の前に座ると
今からお前のやることは言われなくても分かってるな?
という視線を送られる

半勃ちの滑りを帯びた赤黒い異物を
黙ったままのアンの顔に近付けさせた

本当に目と鼻の先にペニスがあり
呼吸をすれば汗で蒸れた男根の香りが
体内に入ってきそうなくらい

「今日は女子禁制の男の寝床に
入った罰として、だからな」

アンは言われるままに頷くと男の足元に跪き
お決まりの通りに忠実に肉棒を咥える
最初は舌で少しずつ舐めるようにして
筋の裏まで刺激していく

全て男を悦ばす為にと幼い頃から教わってきた事

ねっとりと丁寧に舌を這わせていくアンに
千秋はいきなり痺れを切らしたのか
自ら立ち上がり腰を動かし始めた

『んっ…ちゅぐっ…』

アンの頭を両手で頭押さえつけて
激しくスライドさせてくる

アンが苦悶の顔を浮かべる度に
太く硬く膨張させる肉棒を
力任せに喉元深くまで押し込めてくる

「よし、全部飲み干すんだぞ?」

息苦しくて蒸せ返りそうになった瞬間
肉棒が一段と大きく口内で脈打った

勢いよく流れ込む精液をアンは
当たり前の作業のように飲み干して
最後に確認の為に舌を出して見せた

「ふん…前より喉奥で締め付ける力が
弱まったんじゃないか?
これからはいいというまで、しばらく毎晩来い」

『分かりました…千秋お父様』

「それと…お前、アイツにどこまでされた?
こっちにこい、隅々まで確認してやる…!」

忌々しそうな目でアンの体中を眺める千秋
すると、いきなりアンをベッドへと押し倒した

射精したばかりなのに猛る肉棒がチラついて
アンはガクガクと身体を震わせる

千秋はアンが自分に逆らえないのをいいことに
下卑た笑いを浮かべている

まじまじと食い入るように見つめながら
アンの花弁を指で広げ
そのヒクヒクと蠢くいやらしさに男根をさらに固くした

「あぁ?どこでこんな女の厭らしい反応を覚えた?
アイツに調教されたのか…ずっと純白なまま
手はつけないでおいたのに穢されやがって…
まさかお前、処女まで…?!」

アンは無言のままコクリと頷いた

「アン、お前はこれからは
俺を満足させるためだけに生きるんだ…」

PiPiPiPiPi…

「なんだ、タイミングの悪い!ああ仕事の電話か
おいお前、そこから1ミリも動くなよ」


ここまでは全ては龍臣の読み通りだった
関係者に電話を入れさせその隙にアンを
力強くで連れ攫うという誘拐計画

運転手には前で車を待機させており
後はこの窓から忍び込むだけ
こう見えて海外仕込みの腕っ節は
そこらの警護よりは自信がある

ガタンッ

「アン…っ!!!」

『龍臣…さま…?』

毛布に包まったあられもない姿のアンを
龍臣はギュッと強く抱き締めた
こうしてゆっくりしていたいが時間もない

龍臣はすぐにアンを抱き抱え窓から飛び出し
待機させていた車へと直行した

「あれ…アンは?」

「榊さーん、私あの男に返品されましたよぉ
これ、手切れ金?だそうでーす」

空っぽになった千秋の部屋を訪ねてきたのは
スーツケースに詰め込んだ大金を持ったルナだった

『…ありがとうございます、龍臣様…これからも
私にもっともっと色んな事を教えて下さい…』

「…もちろんだとも、そのつもりだよ」


二人は屋敷に到着するまで待ちきれず
車内で甘い甘いキスを何度も繰り返した


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