「春浪学園と、ですか」
「そうだ、なんだ?文句があるのか」

生徒会長である永束は理事長室に呼び出されていた。永束は眉間にしわを寄せて(このクソオヤジ…)と頭の中で吐き捨てる。

「創立以来、姉妹校と一度も共同行事を行ったことがあろう」
「ですが、もう学園祭まで一か月を切っており生徒たちの準備ももう進んでいます」
「そんなことは、わかっている!」
「…それならその浅はかなお考えは辞めていただきたいですね」
悔しそうにこちらを睨む理事長の視線を冷ややかに受け止めてやる。

「…そのままその椅子に座り続けたいのでしたら、もう少し利口になっていただきたい。最悪の場合をお忘れなく。」
暗に、家の力を使ってその座から引きずり落としてやるぞという意味を含めれば、理事長は悔しそうな表情を滲ませてる。それを横目で見て理事長室から出ていった。生徒会室へと向かう足が心なしか大股になったのは気のせいではない。

***
「「合同学園祭ぃぃぃ???」」

永束がめずらしく不機嫌な風を吹かせて帰ってきた瞬間、毒のように吐き出した情報に、ツキノと花沢が声を荒げていた。原先輩は、声こそは荒げていないものの眉間にしわを寄せている。あンの、クソ理事長のことだからほとんど思いつきで言ったのだろうとういうことは想像がつく。

「それで?予算はどうするつもりなんですか?ボンクラ理事長は」
「…比呂、俺にとどめを刺すのをやめてくれ…、各団体への説明で今頭がいっぱいだ…」
「永束、気持ちはわかりますが、そちらが先です。まず、予算計上してそんなことは無理だ、と言ってやりましょう。」
「…あぁ、そうか。確かにそうしよう…」

永束は、もう脳みそがヒート状態になってる。氷を頭にぶっかけてやりたい気持ちになるが、それはそれである種の拷問であることに気付き、心のうちに秘めてやる。

それにしても、春浪学園と合同学園祭ねえ…これは、理事長発案というわけではなさそうである。そんなに、こちらを必死に探しているということなのか。
昨日美作からの情報を、脳内で整理する。
さて、俺の弟たちの相手をしてくれたお礼をどうしてやろうか…

アイツらは、誰に喧嘩を売ったのかイマイチ理解していないようだ。
「春浪学園って、姉妹校って言ったってあんまり関わりないよねえ…、どういった学園なのかすら知らないしなあ…」
かなり的を得た意見を述べたのは、月乃だった。そもそも、同じ全寮制男子校ではあるらしいが、いい噂は聞かない。

俺が、少し思考の海へと流れていると、原先輩が俺の制服の裾を引いた。
「……結構、危ないチームの奴らがいる、気をつけて」
そう言って、少し怯えた様子の原先輩に俺は、なるべくやさしく微笑んで「大丈夫ですよ」と答えた。どうやらアイツらは俺の神経を逆なでするのが余程好きらしい。

――覚悟しておけよ、チームglare(グレア)?





     




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