「ッ、さ、サク…これは、冗談だろ?」
玄関口にてにっこりと微笑むサクに促され、寝室に入る。同棲をする時に二人で選んだクイーンサイズのベッドにゆっくりと押し倒される。ちょっとでも嫌がる素振りを見せれば嫌われてしまう気がして、抵抗することが出来なかった。
チャリ…と、普通に暮らしていれば、聞いたことがないような音がする。口角が上がり、目を細めたサクが玩具には見えない、質のよさそうな手錠を掲げていた。
慈しむかのような手つきで、両手をスルリと絡めとられ手錠を掛けられてしまった。
「冗談…?そう見える?」
見えないから、聞いているんだ。
サクはこんなアブノーマルなプレイが本当は好きだったのだろうか。今までの俺とのセックスでは満足できていなかったのか…?
「ちょっと、目隠しもしちゃおっか」
どこからともなく黒く幅の狭い布を出してきたサクは、大事なものを包むような仕草で俺の視界を黒く染めた。
サクの骨ばっていて、白い指が俺のジーンズとパンツを下ろしていくのがわかる。俺は、自ら腰を少し浮かし、サクが脱がしやすいような体制をとった。
「…ッ?、つ、めてェ…」
「んー?すぐぬるくなるよ」
緩く勃ち上がったペニスにローションかけられたようで、その冷たさに背中が縮む。愛しい彼にシゴかれてしまえば、完勃ちしてしまう。気持ちよさに、息を荒くしていると突然後ろに違和感。
「な、ァ…!?」
ケツの穴に前に垂らされたローションを塗られる。固く閉じられたソコをぐりぐりとされ、変な声が漏れ出る。
「サクッ、そこ、は入んねえからッ…」
「なんで?俺の後ろにお前のデカいのが入るんだから、入るよ。頑張れば」
「そ、れはお前が…」
「Ωだから?」
「Ωだから、俺はお前にいつも組み敷かれるの?それって誰が決めたんだよ」
「え…」
「お前も、俺がΩだから付き合ってんの?Ωじゃなかったら、付き合ってないんだ?」
「んなわけないだろ!俺は、お前だからッ…」
「大丈夫、αのお前もココで…気持ちよくなれるよ」
低い声が耳元で響く。チクショウ、声が良い!!
一切俺の話を聞く気のないサクに、俺はロクに抵抗ができないまま、後ろを解される。
ついに、くぷり、とサクに指が一本入ってしまった感覚がある。
「クッ…ぅ…」
「あ、ホラ、アキさん、ちょっと広がってきたよ。いいこ、いいこ」
「い、いいこ、じゃねえ!」
「いいこじゃないの?じゃあ…悪い子?」
「ヒッ…んあ”!」
感覚的には、人差し指の第二関節くらいまでは入ったのではないだろうか。痛くて苦しいはずなのに、見え隠れする快楽に目をつぶることができない。最初に触られた時から、一度も触られていないペニスは先走りとローションでぬらぬらしている。
「どう?一本入ったよ、きもちい?」
分かっているくせに、聞いてくるのだから意地が悪い。
「きもち、いわけ、ないだろッ」
「そっかあ…もうちょっとで、届きそうなんだけど…」
「ンあッ…!?そ、れッ…」
「あ、あった…アキさんが、メスになっちゃうスイッチ」
「んああッ、や、めろッて、ばっ!」
サクの長い指が、なにかにあたって一瞬意識が飛んだ。何が起こったのか知りたいのに、目を覆う布が邪魔で自分の情報を汲み取ることができない。わかるのは、サクの指が俺の粘膜を抉っているということだけ。やめてほしいのに、手は手錠で動きが制限されており、動かす度に金属の固い音を放っている。両足の間に、サクが陣取っていて閉じることが叶わない。そんあ状態を想像するだけで、羞恥心が煽られる。
ゆっくりと解され、そのたびに自分の中にあるαとしてのプライドが解されていくのがわかる。どろどろに溶かされ、自分と言うものが無くなってしまうようだ。サクと一つになって、ずっと一緒にいれるような気がする。
「アキ、俺のアキ…」
視覚を奪われた身体は、敏感でその小さな呟きすらも拾い上げ、優秀な脳みそに焼き付いた。
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