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幼児主と青雉
2010/06/30 02:50
企画のもしも海軍に拾われたら、の設定です
毎度のことながら、めんどくさいめんどくさい、と言いつつも一仕事を終えて自室の扉を開いた。
薄暗い部屋に明かりを点すと、珍しい客がソファーの上で丸まっていて、おれは目を丸くする。
「あらあら」
どうやら寝ているみたいで、ゆっくりとしたリズムで小さな背中が上下している。
起こしてしまわないように足音を抑えながら近づいて、そっと覗き込んだ。予想通り、いつも見える紫色の瞳はまぶたに覆われていた。
「よく寝ちゃって、まあ…」
微かに聞こえる穏やかな寝息に、こっちまで眠くなってきそうだ。
「なーんで、おれの部屋なんかにいるのかねェ」
いつもなら、サカズキんとこかセンゴクさんとこにいるのに。でもまあ、なんだか嬉しいから、なんだっていいかなあ。
穏やかな表情で眠る子供の柔らかな髪を、そおっと撫でる。
ぴくりと眉が動いて、もぞもぞと身体を更に丸めた。もしかしたら、寒いのかもしれない。そりゃあ氷が近くにいたら寒いか。
ひとつ苦笑をして、肩に掛けていたコートを丸まった身体にかけてやる。
あまりにもサイズ違いなそれに、小さな身体はすっぽりと埋もれてしまった。
けど、あったかくはなったようで、ゆるりと表情が緩んだ。
「…ぷ」
ちょっと間抜けな寝顔と、“正義”という重い文字がミスマッチでついふきだした。
(…似合わないなァ)
正義っていうより、この子は“暢気”とかの方がよく似合うんじゃないだろうか。
「まあ、なんでも、いっかな」
もう一度小さな頭を撫でて、ソファーの空いているところに腰掛けた。
「おやすみ」
少し微笑んでいるような穏やかな表情に、おれも少し笑って、アイマスクを下げる。なんとなく、今日は深く眠れそうだと、そう思った。
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