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連載主とマルコ

2010/04/05 08:36

春だな、と思った。


おれに寄り掛かって、気持ちよさそうに眠るちびっ子を見て。

とりあえず、寝にくそうなのでそっと抱き上げて、胡座をかいた脚の上に寝かせてやる。本当はベッドに寝かしてやるのが一番いいんだろうが、今は生憎甲板だ。わざわざ置きに行くのも面倒だし、何より、暖かな日差しの降り注ぐ甲板の方が部屋よりもいいと思った。

「あれ?チビ、寝ちまったんですか?」

「気持ちよさそうだなー」

おれやチビ助と同じように甲板で暇を潰していたクルーたちが、寝てしまったチビ助を見て笑いながらそう言ってくる。

「おめぇら、起こすんじゃねえよい」

相変わらず騒がしい兄弟たちにそう言うと、一斉ににんまりと笑いやがった。

「起こしちゃかわいそうですもんね」

「マルコ隊長やさしー」

「だなー」

「…うるせーよいっ!!」

カッと怒鳴ると、すいませーんとまったく反省してなさそうに謝りながら、蜘蛛の子散らしたように四方に逃げていく。
ため息を一つ。
怒鳴り声やあの馬鹿どもの喧しい足音で起きてしまったかと、チビ助の顔を覗き込んでみたが、ぐっすりと眠っていた。
今度は、安堵のため息のようなものが出て苦笑した。


いろいろと、らしくない。
らしくないのは分かってるが、なんだか最近諦めがついてきた。
つまるところ、無垢なこどもの前では海賊であろうがなんであろうが、そんなものは無意味なんだろう。
ため息は尽きないが、考えるだけ無駄な気がして、おれもまた暖かな日差しに誘われるままに目を閉じた。




最近暖かいせいか、二割増しで眠い

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