Dream | ナノ

Dream

ColdStar

おやすみ

目を覚ますとそこはソーマの部屋で……私の隣ではソーマが静かに寝息を立てていた。

明日は予定されている作戦はなく、緊急のミッションが入ることも考えて第一部隊は朝から待機と言う指令が出され……それなら、少しゆっくりしてもいいだろうと言う判断の元にソーマの部屋に泊まることにしたのだった。
勿論、ソーマの部屋に泊まるなんてことになったってすることはひとつで、いつものように随分と激しく弄ばれ……余韻に浸る間に私は眠りに落ちてしまっていた、らしい。
明かりの消えた真っ暗な部屋、視力の良くない私にはソーマの姿しか見えない。
一体どんな夢を見ているのだろうか、ソーマの寝顔はほんの僅か穏やかに笑みを浮かべているように見えた。
……呪われた宿命を背負って生まれ、他人を拒絶し続けて生きてきたソーマ。
そんな彼がこうして私には心を開き、隣にいることを許してくれた――そんな日常が当たり前になった今でさえ、それが奇跡だったのではないかと思うことがある。
ソーマを起こさないようにそっと、眠り続ける頬に触れた。
少しだけくすぐったそうに身を捩ったソーマに慌てて手を引っ込めるが、目を覚ましたわけではない――それを確かめると、再びソーマの頬に触れた。

初めて出会ってからこうしてソーマの恋人になるまでに……いや、ソーマの恋人になった後も、私たちの間にはいろんなことがあった。
リンドウさんのこと、アリサのこと、シオのこと、ソーマの父親である前の支部長のこと、レンのこと、その他にも色々。そんな色々を乗り越えて、私たちは今ここにいる……

「ソーマ」

起こさないように、そっとその名を呼ぶ。
相変わらず気持ちよさそうに眠っているソーマの寝顔はまるで年端もいかない少年のようで、この寝顔を見ることが許されている自分の存在が、この世界で一番恵まれているもののように思えて……自分でも分かるほど、はっきりと表情が緩んでいるのが分かった。

「これからも、あんたと一緒にいたい」

どうせ今言ったって返事がないのは分かっている。
でも、胸の奥からあふれ出したこの感情をどうしても、今言葉にしておきたかった。

「愛してる、ソーマ。きっとこれからもずっと」
「……あいね……」

突然名を呼ばれて、びくりと身を縮ませる。
だがソーマは目を開く様子すらない。寝言なのだと気付いて、夢の中でも私を呼んでくれるソーマのことがまた愛しくなって……しっかりとその身体に抱きついた。

「私はここにいる……あんたの、隣に」

しっかりと抱きついた腕から、ソーマのぬくもりが伝わってくる。
第一部隊隊長として、生と死の狭間で生きている私にとってもここが一番安らげる場所。

だから、ソーマ。
これからも私を隣にいさせて欲しい――

その想いは言葉にすることなく、ゆっくりと目を閉じた。
このぬくもりの傍で眠りたい。自分の中にある一番大きな衝動に身を任せるように。

「おやすみ、ソーマ」

先刻眠りに落ちる前には伝えることの出来なかった短い言葉と共に、私は再び瞼を閉ざし……誰よりも愛しいひとの隣で、ゆっくりと穏やかな眠りの世界へと誘われていった。

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