栄養補給
「………ん。」
「…………は?」
「あたしの誠意が受け取れないって言うの?」
ブルーが俺に差し出してくるものを見て、俺は首を傾げた。 どこから見ても弁当だ。
解せない。 いつものように俺の邪魔と言う名目で息抜きをさせにきたなら解るが(ブルーは認めないだろうが)、今日はそんな様子では無い。
俯くブルーを見て、俺は口をまた開いた。
「…何でまたいきなり?」
「理由が要るのかしら?」
「別に、無理に教えろとは言わないがな。」
可愛くないことを言いながら、ブルーは赤くなっていた。 解りやすい奴、と俺は少し笑う。
「……グリーンは、自分のことに無頓着すぎなのよ。」
「は?」
「だって、ほっとくと水と塩だけで生活しそうなんだもの。」
こいつは俺を何だと思っているのか。俺も人間なんだから、そんなこと不可能に決まっている(むしろそういう超人的なことはレッドに求める方が確実だ)。
だが、まぁそうかもしれないなと、俺は普段の食生活を思い出してブルーの言うことにも納得する。
栄養なんて必要な分だけとっていれば良いのだから、そこまで食べることに執着した覚えが無い。 そういえば、レッドに止められるまで3日間くらい栄養補助食品だけで過ごしたこともあった気がする。
俺はまったく気にしていないが、どうやらブルーは違うらしい。 少し不機嫌そうに俺を見上げる青い瞳は揺れていた。
「…今は大丈夫かもしれないけど、どうなるか解らないんだから。」
「…ブルー?」
「ちょっと、だけ…本当にちょっとだけ、心配するわ。」
強がりを言ってはいるが、本気で心配してくれているらしい。 ここまで心配かけてたのか、と申し訳なく思う反面、嬉しいと思う不謹慎な自分が居る。
「…貰っておく。」
「何で笑ってるのよ。」
「別に。」
適当に返して、包みを持っていない方の手だけでブルーを軽く抱き寄せた。
どうやら動揺しているらしく、一瞬動きを止めてからブルーは小さな抵抗を見せ始めた。
「なに、してんのよっ!?」
「……別に?」
「別に、じゃない!」
きっと、今の俺は緩みきった表情をしているんだろう。 こんなことだけで日頃の疲れを忘れてしまう、なんて馬鹿げたことかもしれないが。
「ブルー。」
「…何よ?」
「ありがとう。」
俺がそう告げると、「馬鹿」、と言いながらブルーは俺を抱き締め返した。
君は一番の栄養源
卵焼きが塩辛かったこと以外は、満点をやってもいいな
白石由様から頂きました! 姉さんの料理の腕は書く方によって違いますよね。 我が家設定では下手じゃないけど兄さんには劣るという女として何とも屈辱的な位置におります。 兄さんが完璧すぎるのがいけないんだ!
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