貴方にだけは敵わない
「グリーン。」
「…………。」
「グリーンってば!」
「…うるさい女だな。」
そう言うグリーンは、相変わらずあたしじゃなくて書類に向かったまま。 むかつく。書類に嫉妬なんて馬鹿馬鹿しい話だけど、あれだけグリーンの熱い視線を独り占め出来るなんて羨ましいにも程があるわ。
「ねぇ、疲れたでしょ?」
「別に。」
「…そこは嘘でも疲れたって言いなさいよ。」
あんまり彼があたしを構ってくれないから、ちょっと悔しくなる。
だから、グリーンの後ろがぎゅうっと抱き着いてみた。 グリーンは無反応。何よその態度、むかつく。
「…ねぇ、疲れてるんでしょ?」
「…何してるんだ?」
「疲れてそうなジムリーダー様を癒してあげようと思って。」
「……離せ。」
「もう、つれないんだから。」
ほんと、グリーンは淡白すぎてつまんない。もしこれがレッドなら、面白いくらい真っ赤になったろうに顔色1つ変えないなんて。
あたしが渋々グリーンから離れると、今度は何故かグリーンに手を引かれた。
突然のことに対処出来なくて、あたしは彼の腕に飛び込む形になる。 状況を理解すると、顔が一気に熱くなった。
「………っ!!?」
「癒してくれるんだろ?」
「つ、疲れてないって言ってたじゃないのよ!」
「俺だって色々疲れてる。」
お前のせいで、とか付け加えられてかちんときた。 何であたしなのよ、そう言おうとして顔を上げると、グリーンの凄く綺麗な瞳があたしを見つめていることに気付いた。
その緑に何だか恥ずかしくなって、また俯くとグリーンの唇があたしの耳に寄せられた。
「…俺は、男だ。」
そう言われると何も言えなくなって、あたしはそのまま固まってさっきより顔が熱くなるのを感じていた。
きっと今は顔が赤いだろうから見られたくないのに、グリーンはあたしの顔を上げさせると少しだけ笑った。
「俺の前だから許すが、他の男の前でそんな態度を取るなよ。」
「…グリーンの前だけ、よ。」
あたしをこんな風に必死にさせるのは、グリーンだけなんだもの。
そう呟くように言うとグリーンは満足したように笑って、あたしの唇に口付けた。
貴方にだけは敵わない
そんなに格好良いなんて、反則だわ
白石由様から頂きました! 兄さんのデレ期は突然やってくる。笑
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