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瞼にキスを、手のひらに愛を


三冊目の雑誌を読み終えた時、やっと全ての挑戦者を片付けたグリーンが部屋に戻ってきた。
時計を見ると、最初に出て行ってからかなりの時間が経っている。
今日は偶々挑戦者の数が多かったらしい。

「長かったわね」
「…そうだな」

タオルで汗を拭いながらグリーンはアタシの隣に座る。
どうやらかなり疲れているようだ。

「コーヒーでも煎れようか?」
「いや、いい…」

これ又珍しい。
グリーンがコーヒーを断るなんて。
明日は雨かな、なんて考えていたら、不意にアタシの膝に倒れ込んできた。

「ぅえ!?ちょ、ちょっとグリーン!?」

予測していなかったことにかぁっと顔が熱くなるのが判る。
するとグリーンがぽつりと一言。

「…眠い、寝る」

…明日は雨どころか槍でも降ってくるかもしれない。
あの超がつく堅物男がアタシに甘えるなんて、空前絶後の出来事だわ!

嬉しいやら恥ずかしいやらごちゃごちゃした頭を整理しているうちに、パニックの原因は既に寝息をたてていた。

「もうっ、勝手なんだから…」

そう呟きながら自然と頬が緩む。
投げ出された手に自分の手を重ねてからそっとグリーンの瞼に唇を寄せた。


お疲れ様、お休みなさい


どうか、良い夢を。




タイトル→monica様。

▽ふわふわぽけっとのらぎいちさんへ。相互記念。
↓持帰用にどうぞ。






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