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寂しさが消えた日


「…はぁ」

何回目か判らない溜息を又一つ。
椅子に座ってからちらりとテーブルの隅のポケギアに視線を向けた。

(今頃、何処に居るんだろう…)

目を閉じると瞼の裏に黒いマントが翻る。
会いたくても会えない。
それは相手の地位を考えれば仕方のないことなのだが、それでもやっぱり割り切れ無かった。
頭を前に倒すとゴンと音をたてて額とテーブルがぶつかった。

「痛…」

痛いのは額か。
それとも心か。

「会いたいよ、ワタル…」

ぽろりと本心と共に涙が零れた。
すると不意に窓が揺れた。
続いて轟音と激しい振動。

「…?」

流れる雫を袖で拭ってドアを開く。
すると其処には先程まで瞼の裏に居た人物と山吹色の竜の姿があった。

「お、久しぶりだな」

僕が出てきたのに気付いたワタルが言う。
その声を聞いただけで限界だった。

「っイエロー?」

ばふっとマントの上からワタルに抱き着く。
頭の上から焦ったような声が聞こえたが、今はそんなことどうでも良かった。

会いたかった。
そう呟くとワタルも僕を抱きしめ返してくれた。


お帰りなさい。


取り敢えず、涙が止まったら温かい紅茶でも煎れてあげようかな。



▽Dearestの蓮様へ。10000ヒットおめでとうございます記念。
↓持帰用にどうぞ。






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