ふたりぼっちの夜を明かそう
「こんな時まで付けてるのね」
そう言ってグリーンの首から下がるペンダントを引っ張る。 するとグリーンは少しだけ眉を顰めた。 その瞬間しまった、と心の中で後悔する。
判ってる、つもりだったんだけどな。 これが彼にとってどれだけ大切なものなのか。
でもやっぱり心の何処かでそれを拒んでいる自分が居た。 何だかあたしと彼との間を阻む、壁のように感じられて。
引き千切ってやりたい。
そんなことを考えていたら、徐にグリーンはペンダントを外し、放り投げた。 それはちゃら、と音を立てて脱ぎ散らかされた服の上へ着地する。
「な、にして…」
グリーンがそれを外した所をあたしは今まで見たことが無かった。 何だか悪いことをしたような気分になる。 謝ろうとした時、ぼそりとグリーンが呟いた。
「…今は、お前のほうが大事だ」
そうして優しい口付けが降ってくる。 それに応えながら、込み上げた嬉しさを表すようにあたしはグリーンの首に腕を回して抱きついた。
ふたりぼっちの夜を明かそう
今だけは。 何にも遮られずに、溶け合って、混ざり合う。
Title→monica様
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