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愛の押し売り


何て煩わしい。

「好き」
「大好き」
「愛してる」

それだけしか語彙が無いのかと思う位に彼女は繰り返しこれらの言葉を吐く。
彼女としてはからかっているだけなのだろうが、言われる側は堪ったものではない。
唯でさえストレスが溜まっているというのに。

「おい」
「あら、やっとアタシの気持ちに応えてくれる気になったのかしら?」
「何を訳の判らないことを言っている」

よくそんな思ってもいないことをおいそれと口に出来るものだ。
やれやれと溜息を一つ零すと、するりと首に細い腕が絡み付いた。

「もー、つれないんだから」

そう耳元で囁かれて更に苛々が募る。嗚呼、欝陶しい。

「下らん」

肩に体重をかけてくる彼女に冷たく言い放つ。
すると一瞬彼女がびくりと震え、絡まっていた腕が解けた。

「好きだの何だのってのは押し付けるものじゃないし、押し付けられるものでもないだろうが」


愛の押し売り


くるりと椅子を回して正面から見据えた彼女がどこか泣き出しそうな表情に見えたのは、オレの気の所為か。


タイトル→monica様。




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