偽物の理由
一番最初に視界に入ったのは、青い髪を持つ鳥使いだった。 向こうも此方を認識したのか、驚いた様子で駆け寄ってくる。
「アンズさん!」 「久しぶりでござるな、ハヤト殿」
彼の後を追うようにピジョットが付いてきた。 そっと掌を差し出すとちょん、と軽く嘴でつつかれる。 どうやら覚えてくれていたようだ。
「でも、何故?」
その問いを聞いた瞬間ドキリと心臓が脈打った。 しかし黙り込んでいるわけにもいかない。
「…ば」 「ば?」 「バトルをっ、しに来たでござるっ!」
思わず大声になってしまった。 恐る恐る彼の様子を伺うと、一瞬きょとんとした表情をしていたが、すぐに笑顔になるのが見えた。
「そうか」
じゃあ早速!と彼はフィールドへと向かう 其の背中を見送りながらこっそり溜息を吐き、自分の不甲斐無さを心の中で叱咤した。
伝えたい、伝えられない。
「唯会いに来た」と言えるのは何時になるのか。
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