やり直しの効かない人生ゲーム
※死ネタ注意!
何で、こうなっちゃったんだろう…?
向けられた銃口、向けている銃口。 それらは一寸違わずお互いの急所に狙いを定めている。
「これで、終わりね」 「…そうだな」
昨日まで一緒に笑っていたのに。 昨日まで隣に並んでたのに。
今は、敵同士。 自分が生き残る為には、斃さなければならない相手。
ぐっ、とお互いに引き金に力を込める。 覚悟を、決めた。
「 さ よ な ら 」
次の瞬間、一発の銃声が張り詰めた空気を切り裂いた。
「…え?」
一、発?
閉じていた目を開く。 確かにあたしの手の中の鉄の塊は青白い煙を燻らせている。
どさり、と、何かが倒れる音がした。
音の方向を向くと、赫の中に沈む彼の姿。
「っグリーン!」
敵同士だという状況を忘れて駆け寄る。 敵とか味方とかはもうどうでも良かった。
「アンタ…撃たなかったの…?」
あたしは彼を撃ったのに、彼はあたしを撃たなかった。
「何で、何でよっ…!?」
瞼が薄らと開く。 見えているのかいないのか、瞳は濁り始めていた。 あたしの大好きだった、深い森色。
「…ブ、ルー…っ」
ひゅうひゅうと呼吸音が聞こえる。 唇が何かを言おうと動いた。
「え…何?」
聞こえない。 必死で彼の言葉に耳を傾けた。
「 、 。」
弾かれた様に寄せていた顔を離す。 そして見てしまった。
はっきりと微笑む、彼の顔を。
「グリー…!」
名前を呼び終える前に、腕にかかる重みが増す。 同時に、呼吸音が途絶えた。
「え、嫌だ、起きて!ねぇ起きてよ!グリーン!」
どんなに名前を呼んでも、閉じられた緑は開かない。 ぽたり、と雫が落ちた。
「狡いよ…最後にあんなこと言うなんて…っ!」
アンタに伝えたかった言葉。 伝えられなかった言葉。 それだけを残して逝くなんて。
「未だ…返事してないのにっ…グリーンの馬鹿ぁ…!」
どんなに叫んでももう届くことの無い叫び。 涙と後悔の念は止まることを知らなかった。
Take Out↓※まるよしさんのみお持帰り可。
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