旧 | ナノ

パフェより甘いひとときを


何故あの時頷いてしまったのだろう。
今更ながらオレは激しく後悔していた。

「はー、グリーンが居てくれて助かったわぁ」
「…そうか」

ぐったりと疲れ切っているオレとは裏腹に、目の前に座る彼女は元気溌溂と言った状態だ。
四人席の半分はオレ達で、もう半分は荷物で埋まっていた。

「お陰で卵も油も余分に買えたし♪」

…よくある“お一人様一つまで”な買い物に付き合って欲しい。
そういうお願いだったはずだが。

「…荷物の半分以上がお前の私物じゃないのか」
「や、やぁねぇ、そんなことないわよっ」

そんなことあるだろ、とツッコむ気力も既に無いに等しい。
それに比べてブルーはこれ又甘ったるそうなパフェを口に運んでいる。
これもオレの奢りになるであろうことは容易に想像出来た。

「何で女ってのはあんな買い物に燃えるんだ…」
「そんなの、欲しい物を手に入れるために決まってるじゃない!」

ぽつりと零れた疑問に真剣に返され、オレは溜息を吐いて目の前のコーヒーカップを取った。
一滴の白も混じっていない黒がちゃぷんと揺れる。
ぐいと喉に流し込むとじわりと苦味が広がった。

「、ねぇ」
「何…むぐ」

声をかけられ落としていた視線を上げた瞬間、いきなりスプーンを突っ込まれた。
さっきのコーヒーの所為で何時も以上に甘い、アイスクリーム。

「今日は付き合ってくれて、有難っ」

満面の笑顔でそんなことを言われたら、文句の一つでも言おうと開きかけた口も閉じざるを得ない。
しかし閉じる前に溜息を吐くのは忘れなかった。

「…やれやれ」

偶にはこんな休日も悪くないかもしれない。

「又付き合ってね」
「それは断る」
「えー何でよーっ!」



Title→THREE WISHES様
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