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「え、一緒に?」


「うん!パパと入りたい!」


「ダメだ」


「なんで智希がダメって言うんだよー」


「お前!呼び捨てにすんな!」


「お前って言うな!」


「あーはいはい喧嘩しない」




リビングで口論し始める高校生と小学生を端っこで見ながら、はぁ、と小さくため息をついた。





「将太、もう大きいんだから別に俺と入らなくても一人で入れるだろ?」


「やだ!だって……だって…ずっとママしかいなかったから…パパとお風呂入ったことないんだもん…」


「っ………そっか、そうだったんだ……。じゃあ、一緒に入ろうか」


「うん!」





















ズルイ!!!




























もちろん、心の中で泣いたのは高校生の智希なわけで。



嫌な予感がする。
このままだったらあいつ…。


















「パパと一緒に寝たいー!」


「………あー…」


「…………」





















やっぱりか!!!

































今までなんでもそつ無くこなし生きてきた智希。

この日初めて、完敗という文字が頭に重くのしかかった。







カッチ…カッチ…カッチ


久しぶりの独り寝だ。
寂しい、なんかの次元じゃない。


足りない。




「…………寝れん」


有志を将太に取られ、小学生相手と本気で取り合いをすることもできずそこは大人しく引き下がった。


父さんの隣は俺のものなのに。



風呂に入り一人部屋に戻ると、いつもの自分の部屋だというのに異様に広く感じられる。
気持ち悪いぐらいだ。


足りない。



とりあえず無理やり寝ようとベッドに入って、髪の毛も完全に乾かぬまま目を閉じる。
いつもは調度良いクーラーの温度も肌寒く感じてしまう。


カッチ…カッチ…カッチ…



時計の音が鳴り響く。
真っ暗な部屋は時計の音しか聞こえない。

有志の寝息も、二人が擦れ合う音も聞こえない。




足りない。





「あー…。寝ーれーなーいー!」


ガバっと夏布団を取って大の字になると、目を開け真っ暗な天井を見上げた。

いつもと変わらない天井。
でも。



足りない。


再び布団を被って無理やり目を閉じると、ガチャっとドアが開く音がした。
それはやや小さな音で、遠慮がちに開いたようだ。


まさか。


と、智希は勢い良く起き上がりドアを見る。そこには人影が見えた。


「わっ、びっくりした…起きてたのか」


「父さん!」


「しーっ」


「………」



有志だ。

音に気を使いながらドアを閉めると、暗闇だというのに慣れた足取りでベッドにやってきた。


「……ベッド、いれて?」


「っ……!!」


あまり顔は見えなかったが、小声で聞こえた有志の言葉に智希は発狂しそうになった。

落ち着け。
落ち着け俺。


ふぅ、と深呼吸し、布団を広げ手招きした。


「はい、どうぞ」


「おじゃまします」



落ち着け。
落ち着け俺。


今すぐにでも有志を押し倒しそうになる衝動を必死に抑え、定位置、智希の胸の中に有志が入ってきた。
すっぽりと、まるでその型を取ったかのように智希の胸の中に収まる。



「…将太は?」


「寝たよ。やっぱ子供だね、布団に入ったらすぐ寝た」



父さんの吐息。
父さんの匂い。

なんでこんなに…。







「…あぁ…安心する」


「…っ……」



安心する。
そう先に言葉に出したのは有志だった。

ぎゅっと智希の背中に手を回し、胸に顔を埋める。
何度も頬を擦り寄せて、まるで子猫のように甘える父親。


智希も、それに答えぎゅっと抱きしめ返す。



「…疲れたー…。子供ってあんなに大変なんだな」


「何言ってんの。俺をここまで育ててくれたの父さんじゃん」


クスクス笑い肩が揺れる。
有志はその揺れに心地良さを感じながら、顔だけズラし至近距離から智希を見上げた。


「…お前はほんと…良い子だったって……改めて思った」


「っ……」


ごくん、と生唾を飲む智希。


落ち着け。
落ち着け俺。

父さん明日は仕事だから。



必死に我慢しているというのに、全く悪気のない有志は嬉しそうに笑うと再び智希にきつく抱きついた。


「明日は将太が起きる前に先に起きて下に戻るよ」


「ん」


「だからそれまでちょっと…ちょっとだけ充電…させてくれ、な。今日は疲れた…」


「……うん」




どうしよう。まじで、嬉しい。


嬉しい。


嬉しい。



我慢、できない。



我慢の限界とはこのことである。






「…父さん…ごめん」


「えっ」


有志の額にキスを落とすと、そのまま器用な手つきで有志の腰に手を回し軽く尻を撫でた。


「っ!…だ、ダメだって智希!」



小声がまた、欲情を促す。


「…最後までしないから」


「でもっ…下っ…将太がっ」


「うん。だから…声、抑えててね」


「ちょっ!」



力では勝てない。


智希は有志の腰を掴み軽々と反転させると、見えたうなじにチュッっと音を立ててキスをした。


「っ…!」


有志の全身に鳥肌が立ち、ピクリと体が揺れる。


「とっ…智っ…ほんと…ダメっ」


「…すぐ…終わらせるから」


「やっ」



有志の腰に手を回し固定すると、片方の手でズボンのゴムを弾いて中に侵入させた。
まだ全く反応していない有志のソレを見つけると手で覆い、やわやわと揉んでいく。

「っ…まっ…待って…智っ…」


智希の手首を掴んで抵抗してみるが、全くビクリともしない。
下着の上から智希の大きな手が有志のソレをゆっくり愛撫している。

少し、反応してきた。



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