妬ける心【R-15】(第1回アンケートより)

妬ける心【R-15】(第1回アンケートより)







放課後、突然クラスの女子に呼ばれた。

部活前だから無理だって言ったのに、無理矢理腕を引っ張られ人気の無い廊下に連れていかれる。
女子ってうるさくて強引だから好きじゃない。

同じクラスの…2回ぐらい喋ったことあるそいつは、緊張しているのか顔が真っ赤だった。
俺はあんま女子と喋らないから正直こいつがどんな奴なのかわからない。
変にヒステリック起こされても嫌だし我慢することにした。


「……なに」

「大谷君…今、好きな人いる…?」

「っ、…なんで」

なんで、すぐ兄の顔を思い浮かべたんだ。

「わたし、大谷くんの事好きなの。つきあってください」

「……なんで?」

「えっ」


埃っぽい廊下で俺の声が変に響く。


「俺おまえとあんま喋ったことないじゃん。なんで好きなの?」

「だ、だって大谷君…かっこいいし運動神経もいいし…好きになったんだもん!」

「うわ。気持ちわり」



確かに、あの一言は悪かったと思う。



次の日学校へ行くと、俺は最低男というレッテルが貼られクラスの女子全員から睨まれた。

「女の子泣かすとか最低!」
あれぐらいで泣くとは思ってなかったけど悪かったとは思ってる。

「謝れ!」
謝ったよ。あの後泣いたからすぐ謝った。

「ちびのくせに!」
身長関係ねーだろ!!!!

あーめんどくさい。

散々女子に馬鹿にされ、男子にからかわれクタクタになりながら家に向かった。

今日は部活が無いからいつもより早い。

兄ちゃんはいつ帰ってくるかな。

そういえば母さん今日は町内会の仕事で遅くなるって言ってたな。

兄ちゃん部活引退したのにまだ行ってバスケしてるんだって。
すごくかっこいいけど、少しはおれとも…。


段々顔が赤くなってきて、むかむかしていた気持ちも晴れてきた。

重かった足取りも軽くなり家の前に立つと、中から笑い声が聞こえてきた。

まさか、とドアノブを回すと開いている。


「………」


一気にまた気分が落ちていく。


ガチャ


「ただいまー…」

ドアを開けると靴が並べられていた。
一足じゃない。

「1…2…3……」
「あ、おかえり」


靴を数えていると、リビングのドアが開き中から兄ちゃんが出てきた。

「た、ただいま」

ひゅっと喉が鳴って見上げると、まだ制服の兄ちゃんは手に財布を持っていた。

「学校の友達と勉強してんだけど、飲み物なくなったからコンビニ行ってくるわ。ちょうど帰ってきてくれて助かった」

「大谷くんーあたしも行くー」


甘ったるい声でリビングから女が出てきた。
わざとらしく兄ちゃんの背中にぶつかりゴメーンと上目遣い。

きもい。

「……俺も行く」

「え、陸も?」

「わぁ弟さん?かわいいー!!でも全然似てないね」

「血は繋がってないからな」

「そうなんだー。こんにちはー」

「………」


挨拶なんかしてやんない。


「俺もコンビニ行く」

「何言ってんだ。お前までいなくなったら俺んち他人しかいないだろ」

「………」


なんだかその言葉が嬉しかった。


俺と兄ちゃんは他人じゃないってことだよね?
血は繋がってないけど、俺はこいつらより大事ってことだよね?


「あたし大谷くんと他人じゃなくなってもいいよー」

「あーはいはい。じゃあ行ってくるわ」

「………」


絶対ありえないけど、あの女、兄ちゃんの彼女じゃないよな?

だったらまじ認めない!!


兄ちゃんの後を追ってバカ女も家を出る。
兄ちゃん早く帰ってきて。バカ女は二度と来るな。


バタンっと閉められたドアを睨み付けていると、またリビングのドアが開く音がした。

「あれ、きみが弟くん?」

声のした方に顔を向けると、チャラそうな男が立っていた。
髪も長めだし、こいつが兄ちゃんの友達とか信じられない。

俺はまだ履いたままだった靴を脱ぎ家に上がると、一礼し目をそらした。

無愛想なまま俺が2階に上がっていくのをおもしろくないと思ったのか、チャラいそいつはいきなり俺の腕を掴んできた。

「14歳だっけ?思春期まっただ中だねー。でも年上に会ったときはちゃんと声出して挨拶しなきゃダメだよ」

声のトーンが低くなる。
俺は驚いて立ち止まりチャラい男にむき直した。

「ご、ごめんなさい」

「よし、ごめんなさいがちゃんとできる良い子だな」

「………」

今度は満面の笑みで頭を撫でられた。
この人変わってるな…まさか。

「…清野…さん?」

「あれ、なんで俺の名前知ってんの?」

「よく兄ちゃっ…聖眞くんが同じ部活に落ち着きのない変わった奴がいるって…」

「落ち着き無いとはなんだ!」

清野さんは兄ちゃんと同じ学年で、部活も同じ人。

単純でバカだけどバスケは学年で一番うまくてすごいやつ。羨ましいって毎日思ってた。あいつには絶対言わないけどね。
って言ってたな。

この人が…。


「大谷の弟か〜血は繋がってないって言ってたけど…。見た目は当たり前だけど、中身も全然違うな〜」

「ど、どういう意味ですか?」

「あいつ超腹黒じゃん?どSだし考えてること言わずに一人で勝手にやって勝手に解決してさ。むかつくけど羨ましいんだよね〜。あ、腹黒でどSな所以外ね」

この人も兄ちゃんのこと…。

「あ、でもあいつには言うなよ」

「うん」

なんだか嬉しくなった。

「しかし君はなんていうか…純粋で素直そうだし可愛いね〜」

「か、可愛いとか言うなよ!」

「いや〜なんというか……君見てるとうちのお姫様思い出しちゃってね〜」

お姫様?

にやにやと俺の頭を撫で続ける清野さん。
なんだか目がやらしい。

「あ、あの…俺宿題あるんで…」

「そっかそっか。ごめんね〜俺たちもなるべくうるさくしないようにするから〜」


清野さんは思いの外あっさり離してくれて、何事もなかったように鼻歌を歌いながらリビングへ戻っていった。

「… …変な人」


あの人に好かれたら大変そうだな…。


「へっくち!」

「どうした姫川、風邪か?」

「いや、なんか鼻がむずむず……ってか秋田それ俺のアイスだから!食うなよ!」

「勉強してたら腹が減るんだよ!女みたいなくしゃみしやがって!」

「さっきからテレビ見ながらお菓子食べてるだけでなにもしてねーだろ!つか女みたいってなんだよ!」

噂をすればなんとやら。



部屋に戻り鞄を机の上に置く。
はぁ、と大きなため息。

兄ちゃんも俺も折角早く帰ってるのに…。
でも仕方ないか、もうすぐテストって言ってたもんな…。


制服のままベッドに転がり顔を枕に埋める。

あの人たちは兄ちゃんをいっぱい知ってる。
俺の知らない兄ちゃんをいっぱい知ってる。

ずるい。ずるいよ。
俺も兄ちゃんと同じクラスメイトになりたかった。


また悶々と考え始め、気がついたら眠っていた。
勢いよく起き上がり時計を見ると、帰宅時から2時間経っていた。

兄ちゃんの友達…まだいるかな…

ベッドから降りようとしたら玄関が騒がしくなった。
兄ちゃんの友達が帰る所だろうか。

ゆっくり扉を開け階段の下をのぞき込むと、鍵を閉めた兄ちゃんと目があった。

フっと笑う兄ちゃん。
ゆっくり階段を登ってくる。

「うるさかったか?」

「ううん。寝てた」

「宿題は?」

「兄ちゃんに教えてもらうからしてない」

「今まで自分の勉強してて疲れてんのにまた今日も見るのかよー」

そう言いながら怠そうにコキコキと肩を鳴らす姿がかっこいい。
疲れてるなら今日はいいよ、って言えるような空気の読める子に育ってはないから遠慮なく兄ちゃんについていく。

「あ、そうだ。ポッキーとかポテチいっぱいあまってんだけどいるか?」

「いる!」

「お前お菓子好きだよなー。コンビニで食べるって言うから買ったのにあいつら食わずずっと喋ってんだぜ」

はぁ、とため息。
ずっと気になっていたことを、思い切って聞いてみた。


「……彼女?」

「なにが?」

「一緒にコンビニ行った人」

「まさか。呼んでないのに勝手ついてきたクラスメイトだよ」

「………」

「……嬉しそうだな」

「別に」


嬉しい。


「あーってかまじ疲れたー。ちょっと寝るわ」

「俺も!」

「一緒に寝たい?」

「べ、別に一緒になんか寝ないし!」

「あっそ。一緒に寝たいんなら寝てあげようと思ったけど」

「……ね、寝たい」

「……ふーん」

「………」

眉を下げてクスリと笑う顔。
胸の、心臓の、違う、もっと違う奥の奥がぎゅうっと締め付けられた。


「お前さ、もっと太れよ。抱き心地全然良くないんだけど」

「………」

誰と比べているのだろうか。
女の子とだろうか。

「陸?」

兄ちゃんは部屋着に着替えると俺の部屋にやってきた。
俺も部屋着に着替えベッドに潜り込み準備万端。

兄ちゃんは大きなあくびをしながらゆっくりベッドに近づくと、まるで自分のベッドのように中に潜り込んできた。

俺は少し照れながらもじっとしていると、兄に後ろから抱きしめられるという大好きな格好になった。

だけど兄ちゃんから出てきた言葉は、なんだか俺をさらにモヤモヤさせる。


「お前反抗期なの?」

「………」

「ま、いっか」

「よ、よくないだろ!」

「かまってちゃんはめんどくさい」

「…………」


はぁ、と大きな溜め息が後頭部から聞こえる。


めんどくさいって言われた。めんどくさいって言われた。
めんどくさいって言われた…!!


「あ、そうだ」

「なっ、に?」

泣きそうになってたからちょっと高い声出ちゃった。


「キヨと喋った?」

「キヨ?」

「馴れ馴れしくてちゃらい奴」

「あぁ、清野さん?うん、喋ったよ。ちょっとだけ」

「ふーん」

「…なんで?」

「べつに。何喋ったんだ」

「えっと……」


言っちゃダメって、言われたんだっけ。


「ひ、秘密」

「なにそれ」

「おやすみ」

「…………」


無理矢理目を閉じ身を縮こまらせた。
俺の胸の前まで伸びている兄の腕に包まれながら、あまり眠くなかったのに心地良い密着感のおかげで瞼が重くなってきた。

兄ちゃんも眠そうだったし、今日はこのまま寝ちゃおうかな、寝ていいかな、って思いながら息を深く吐くと、モゾモゾと下半身が動いているのがわかった。

「……?」


布団の隙間から下半身を見ると、大きな右手が俺のズボンの中に入ろうとしている。


え?


「……え?兄…ちゃん?」

重い目を開けて振り返ると、兄は目を瞑り寝ている…ようだった。

でも、手はゴソゴソと動いている。

「ちょ、…え?」


片手で強く抱きしめられているから、簡単にふりほどけない。
だけどどんどん手が、中に入ってくる。

「や、ちょ、…っと…!兄ちゃん!起きて…んだ、ろ!」

ズボンのゴムを弾いて中に入って来た手は、下着の上からヤワヤワと俺の股間を揉み始めた。

ま、じ……で?!

「んっ…んっ……っ……や…にっ………ちゃ…」

再び振り返り兄を見たけれど、同じく涼しい顔で目を閉じている。

絶対起きてる、起きてる、のに!

「にっ… ちゃ……やめっ……うっ……あっ」

簡単に兄ちゃんの大きな手にすっぽりはまって、痛さと痒さの波の快感がずっと続いている。


「やっ…め……にっ……ちゃ………パンツ…汚れっ……からっ」


俺を抱きしめてる兄の腕を掴んで引きはがそうと思うけれどもちろんできなくて、じりじりとかきはじめた汗が全身の毛穴から噴き出し気持ち悪くなってきた。

再々度、振り返る。

「にっ………」

しかし兄は目を瞑ったまま。

な、なんだよ!俺なんかしたかよ!


「っぅ……くっ…」


なんでこんなことをされているかわからなくて、不安で、怖くて涙が出てきた。
喉を鳴らし声を押し殺して泣いているというのに、兄の手は止まらない。

「はっ…ぐっ… うぅっ…うっ」

もしかして、本当に寝ている?
え、夢遊病???


「に、兄ちゃんっ……起きてっ…起き、起き…あっ!あぁっ!」

さらに力強く腕を振り払おうとしたら、兄の手が高速に俺のを擦り始めた。
下着の上からなので、ちょっと痛い。


「やっ…やっ!や!やめっ……やめっ!やめっ!痛いっ…布っ…痛いっ…!!」


けど、気持ちいい。
俺の勃起してるソコを下着ごと掴み大きく擦る。
ぐじゅぐじゅと液が漏れ始め、布越しだけど濡れたおかげか兄の手が密着した感覚を覚えた。

兄ちゃんに、触られてる。


「くっ…うぅっ…!」

もう抵抗する事を忘れていて、熱い息を吐きながら手の動きに体をゆだねた。

「に、ちゃ……兄ちゃっ……あっ……あっあっ…もっと……もっと擦って……先っぽ気持ちいっ…」

先っぽをグリグリと親指でこね回し、先走りのおかげで痛みも全くなくなっていた。
下着におさまっていた俺のソレもまだ被っている頭がぴょこんと出てきていて、直に触れて欲しいのになかなか触れてくれない。

「にっ…ちゃ…ん……パンツ…や……取って……!中…もっと…!」


と、恥を忍んで懇願したというのに、兄はずっと下着越しに揉んでいるだけ。
もっと、もっと触って欲しいのに。

でも、イきそうだ。



「やっ…やっ…あっ…あぁっ…イ…イっちゃ……に…ちゃ……俺っ……イっちゃ………あぁっあっ……あぁっーーー!!!」


ビクンっと大きく腰を揺らし痙攣すると、下着から飛び出た俺の性器はズボンの中に白濁の液をぶちまけた。

「っ…はっ…はっ……はっ……はぁ……はぁ…」

肩で大きく息をして唾液を飲み込むと、気持ち悪い下半身をもじもじさせながら兄を見た。

やっぱりまだ、目を瞑っている。


「……兄ちゃっ………んんっ??!!」


俺がイった直後激しく動いていた兄の手が緩くなっていたというのに、いきなりまた、激しく動き始めた。
しかも精液を出した所為で下着とズボンはぐしょぐしょだ。

その液体と絡まり擦られると、かなり気持ちいい。

「や、やだ!やだ!イったばっかで……ソコ……や…だ!」

自然と腰が動いて震えるけれど、あまりの快楽に力が入らない。
イってさらに敏感になったソコはまた膨らみだして、わけのわからない快感に脳が全然ついていかない。

ぐじゅぐじゅとまた、音が響き始めた。
俺の泣き声なんか無視してさらに動き続ける兄ちゃんの手はまるで機械のようだ。

「や、やっ…やっ…怖いっ…怖い…!!やめて…!離してって……ば!」

必死に暴れているというのに、完全ホールドされている俺の体は身動き取れずただ芯が熱くなっていく。

また、俺のは簡単に腹にひっつくぐらい勃ってしまって、もじもじと、いや、バタバタと足を動かしているけど全く動かない。

「だめっだめっ…!またっ…ちゃう!…また出ちゃう……!!」

またあの快楽の波が押し寄せてきて、喉の奥から声が絞り出た瞬間、俺のを擦っていた兄の手もクライマックスかのように激しく動き始め簡単にその刺激にやられてしまった。


「あっあっ……あぁっーーーー!!!」


2回目も簡単に果ててしまって、息をするのを忘れるぐらいの気持ち良さに目の前がチカチカ明るくなった。


「……はぁ……はぁ…も、もう……やだぁ…なんなんだよう…兄ちゃんー……起きてよぅ……」


情けなくしくしくと声を出して泣いていたというのに、無情な兄の手が再び動き始めた。


「えっ…あっやっ…嘘っ…うそっ…!もうやだ…!やだ!もう無理!!やめて!!チンチン痛いよぅーーー!!」


2回出した俺のズボンは浸透して布団を汚してしまっているかもしれない。
そんなことを考えているということは、まだ余裕があるのかもしれない。
しかしまた、激しく動きはじめた。


「やだ!やだやだ!!やめっ…んっ…ひっ!あっ……いぃっ…!!あぁっ…もうやだーーー!!ごめんなさい…!ごめんなさい!もう擦らないでーー!!」


何に謝っているかわからなかったけど、とりあえず兄を怒らせたかと思い必死に謝った。
するとさっきまで俺のを激しく擦っていた兄の手が突然止まり、ズボンから手を出し両手でぎゅっと抱きしめた。

「あっ…にっ……兄ちゃん……?」


恐る恐る振り返ると、兄はまだ目を瞑っていた。


うぅ…パンツの中気持ち悪い…。
お風呂入りたい…。
匂いも気になるし…。
布団も…。


「…兄ちゃん……俺お風呂入りたい…」

「………」


スースーとリズム良く聞こえる寝息。


うぅぅ………。


なんでいきなりこんな事してきたんだろ…。

ほんとに夢遊病?!
まさか誰かと一緒に寝たらこんなことしちゃうとか…?!?!

兄ちゃん…俺が見張っててあげるから…。


その後兄は母が帰ってくる30分前まで起きなかった。手もいきなり動き始めなかった。

でも、また夢遊病で暴れ出さないよう見張るため、俺は一睡もできなかった……。






『大谷の弟にしてはめっちゃ可愛いな』

『………なにキヨ。陸と喋ったのか?』

『あー、うん。ちょっと。なんか最近小動物に弱くって』

『なに喋ったんだ』

『………お兄ちゃんの事どう思ってるか、とか、かな?………気になる?』

『別に』

『あっれー大谷くんなんか顔ひきつってない?』

『キヨ、今日ノート使うからやっぱ貸せねーわ』

『大人げねええ!!』




END

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