清野×姫川小話1
姫川が最近大人しい。元気がない。
そこで今、俺は本屋に来ている。
なぜ本屋かというと…。
「………お、これ良さそう」
『初心者入門・小動物の飼い方』というタイトルを手に取りページをめくると、今までの姫川との思い出が走馬燈のように甦ってきた。
「そうそう…最初は警戒されてたな…うん、睨んでずっとこっち見てんだよな、一定の距離取って」
無縁だと思っていたピュアな交際をしている俺たちは、性格が真反対の為はっきり言ってケンカも多い。
でも俺、これでも大人になった方なんだぞ。元カノに会ったら絶対心入れ替えた?!って驚かれる。
今までの俺ならこんな微妙な空気になったらめんどくさくなって自然消滅とかしてたもんなー。
いやー貴重な休日使って本屋に調べに来てる時点で大成長ですよ!
そんな自分を褒め立てながら本をさらにめくると、気になる文字が見えた。
「……構い過ぎると疲れて衰弱してしまうことがあります…?ストレスで死んでしまうこともあります……?ハムスターはストレスに弱いので、触られたりするのがとんでもなくつらいのです……?!?!」
姫川が……死んでしまう!!!
俺は本を置き一目散に本屋を出ると、今日は部活が無いからきっと家にいるだろう姫川の元へ全速力で走った。
後日わかったのだが、どうやら姫川は歯が痛くて元気がなかったらしい。
あの日、玄関で姫川に抱きつき死ぬなと言った俺の本気を返して欲しい。
END
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