佐倉×日夜小話1
小さい頃から夢見た俺の理想の彼女。
可愛くて、俺よりちっちゃくて、白いふわふわのスカートが似合う女の子。
ちっちゃいから、キスをする時は俺が少しかがんで唇を合わせる。
数秒の口づけが終わって離すと彼女は頬を染めうっとりと俺を見上げる。
でも現実は、見上げてるのは、いつも俺。
「っ……はぁ」
「疲れてます?試験来週ですよね、ごめんね忙しいのに」
全国大会が近いから忙しいのは佐倉も同じやのに、俺のことばかり気にして辛そうに笑いかける。
でも俺が疲れてるのは本当で、今日も佐倉に会えるから2時間睡眠で頑張ってる。
佐倉に会ってしまうと離れるのが嫌になるし試験のこと忘れてずっと一緒にいたいって思ってまう。
究極、試験辞めて留年したいぐらいや。
そんなんしたら一番怒るのは佐倉やろうけど。
合宿が終わりその足で俺の家まで来てくれた。
もう0時を超えていたから声だけ、って電話をしてたけど逆に辛くなって悶えてたら家まで来てくれた。
本当に、いい彼氏を持ったもんで。
「嬉しいけど…わざわざうちまで来やんでもよかったのに…嬉しいけど…お前だって疲れてんのに…嬉しいけど」
「とりあえず嬉しいって思ってくれてることはわかった」
ケラケラと笑う声が頭の上から聞こえる。
俺が描いていた理想の彼女とは性別から身長まで全て真反対。
「どうしたの、ニヤニヤして 」
「なんも」
強く抱きしめることがよかったんやけど、まぁ、抱き締められるのも悪くない。
END
[ 118/121 ][*prev] [next#]
[novel]