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その、智希に告白してきた女の子の名は、橋本詠美(はしもと えいみ)。
普通科クラスの1年生だ。
長い髪の毛を部活のマネージャーをしている時は後ろで一括りし、普段は降ろしている。
長い髪が大人びて見えるのか、同年代の男子から人気があった。
そんな彼女も、偶然兄の試合に応援で行ったあの日から、智希の事が忘れられないでいる。
「もうね、ほんと泉水さんかっこよくてね、一目惚れっていうの?生まれて初めてした!あ、対戦校のうちのお兄ちゃん達はボロ負けだったんだけどね」
「もういいよエイミー。それ何回も聞いたー」
「何回も聞いて!」
同じクラスで仲良くなった友達、根岸なお(ねぎし なお)はうんざりとした顔で弁当を食べる。
昼食時、席が前後の二人は席をくっつけ向かい合わせになってご飯を食べる。
根岸はお弁当。橋本はゼリー1個だ。
「もしかしてエイミ、本気でダイエットとか言ってんの?」
「だって!泉水先輩の彼女に勝つためには痩せて美人にならないと!」
「あんた十分細いし可愛いって!」
「全然ダメ!泉水先輩私の事眼中に無しって感じだったし…」
お昼ご飯と称したゼリーと牛乳を机の上に置いて喋り続ける。
智希に告白し、言われてはいないが眼中無しという返事を受けかなり凹んだ。
その日からダイエットを宣言し、毎日美容と健康の為に努力している。
「それにしてもその、泉水先輩?あんまいい噂聞かないよ?」
「なに?!どんな噂っ?!」
どんな話でも、泉水の事となればなんでも聞きたい。
橋本は身を乗り出し根岸に早くとせがむ。
「な、なんか、付き合っても2〜3ヶ月しかもたないって。しかも本当に好きって思ってくれてるかわからないぐらい適当に扱われるらしいよ」
「いいよ…泉水先輩になら…適当にあしらわれても……」
目を輝かせ何もない空を見つめポっと頬を染める橋本。
そんな友人を見て、根岸は聞こえるぐらい大きなため息をついたが、本人には届かなかった。
クタクタになった体も家に帰ると一気に吹き飛んでしまう。
新キャプテンとして全学年合わせて100人近くの部員をまとめる智希。
新入社員の教育と、朝から晩まで歩いて契約を取ってくる有志、二人とも。
有志が家に帰るとすでに智希はご飯を作り風呂をわかしている。
ただいま、と明るく笑顔で声を出すとひょこっとリビングのドアから顔を出しこちらも満面の笑顔。
おかえり。ご飯できてるけど先にお風呂入る?
こんなに出来たパートナーはなかなかいない、と、有志は毎日感動しているわけで。
「三者面談?」
「うん。早速あるんだけど、父さん今仕事忙しい?」
「あーそうだなー。新入社員もちょっと見ないといけないから厳しいなー」
「何曜日がいいとかある?」
「んー今はどの曜日がいいとかわかんなくて…」
食卓を囲み今は誰がどう見ても親子の会話だ。
有志の為に味噌汁を温め直し水滴を綺麗に拭いて手渡す。
味噌汁を渡された有志はアチチ、と眉を曲げ急いでテーブルに持っていくと、ほぼ同時に智希の分もつぎ終わりイスに座った。
「いただきます」
「いただきます」
背筋を伸ばし二人で手を合わせる。
「1時間くらい?」
「そんなないよ、たぶん。長くて30分ぐらいだと思う」
「あ、じゃあ外回りの時ちょっと抜け出して学校行くよ」
「いいの?」
「うん。毎週水曜日はお得意様のとこ行くんだけど、そこ、智希の高校から近いんだよね。30分ぐらいなら抜けても大丈夫。あ、このキャベツおいしー」
「水曜日ね、了解。それ昨日じいちゃんが送ってくれたキャベツだよ」
「おやじめ…どんどん腕上げてるな…」
サラダにされたキャベツを箸で掴みじっと見つめる有志。
智希はその光景を見て微笑むと、自分もサラダをよそいながらふと、あの保健医のことを考えていた。
……学校で会っちゃうかな…
「どうした智希?」
「ううん。なんでもない」
ハムスターのように口いっぱい頬張る父親に言葉を返すと、止めていた箸を動かし食事を進める。
言うべきかな…東條さんがうちの高校の保健医だって…。
言った所でどうこうなるってわけじゃないだろうけど…。
「とーもー」
「っ……ん?」
「眉間。シワ。若いうちからシワ作ってちゃダメだよ」
智希の眉間にトン、と人差し指でついてニッコリ微笑む父の姿を見て、息子は欲情するわけで。
「…ちょっと、疲れたみたい」
「まだ新学期始まって一週間も経ってないだろ。頑張りなさい」
小さい弱音は甘えだとわかっている。
有志はひどく怒るわけでもなく軽くあしらい再びご飯に戻った。
しかし智希は全然おもしろくなくて、茶碗を持つ有志の腕を掴みサラリと撫でた。
「ちょ、っと…。こら、ご飯中だぞ」
「ね、今晩さ……してもいい?」
「い、い……けど…挿れるのは無しだからな」
顔を真っ赤にしてそう言う有志の唇が少し震えていた。
もう熱くない味噌汁をなぜかフゥフゥと冷ましている。
「……意識しすぎ」
「お前が意識させるような目で見るからだ」
何度抱かれても、有志はその行為に慣れることはなかった。
こんなおじさん抱いて…楽しいのだろうか。
それが本音である。
しかし智希にとって相手がおじさんだろうが老人だろうが有志であれば簡単に勃つわけで、全く問題ないわけなのだが。
「今日一緒にお風呂入ろ」
「ダメだ」
「なんで」
「長いんだよ。す、すぐに…上がらしてくれないし」
過去片手で数えられる程度だけ一緒に風呂に入ったことはある。
しかし基本風呂にはゆっくり入りたい派の有志は、なにかとちょっかいをかけてくる智希が嫌であまり一緒に風呂に入ることを好まない。
それに、明るいから体がばっちり…見られるし。
そんな事を言えば何を今更と言われるのがわかっているので言わないのだが。
「絶対なんもしない。なーんもしない。風呂では」
「絶対?」
「絶対。ただ一緒に湯船浸かってぎゅってするだけだって」
「………絶対だからな。風呂でのぼせたりしたら危険なんだから」
「はいはい」
そう言っていつも流されて、喘いでしまう有志なのだが。
「あっ、あっ…うそ、うそっ……つき!」
「なんもしてないじゃん。ちょっと乳首つねってるだけじゃん」
「そっ、それが……あっ!」
夕食が終わり少し時間をおいてから二人は風呂に入った。
智希が有志の髪の毛を洗ってあげ、その間有志は自分の体を洗う。
一通り何もなく体を洗い終えると、智希の背にもたれ、股の間に有志が挟まる格好で湯船につかった。
おやじくさいうねり声を上げたその直後、魔の手が後ろから有志に降りかかってきたのである。
「ほら、ぎゅってしてるだけじゃん。ぎゅって」
「あっ!ばかっ!ちょっ…あっ…つね、つねる……な!」
智希によって開発されてしまった有志の胸の突起はつねられる度にどんどん肥大していき、数秒でぷっくりと膨れあがってしまった。
有志は耐えきれず響く自分の声を聞きたくなくて耳を塞ごうと思うけれど、それよりも下半身を隠すほうを優先してしまい脳に自分の痴態が響いている。
「なんで、前隠してんの」
「や、やめっ…お願っ…や、やめなさっ」
「……乳首ちょっとつねっただけでもう勃っちゃった?」
「っ……!!」
ぐっと喉の奥を鳴らして目をつぶる。
恥ずかしくて、あまりにも情けなくて、身を縮こまらせ俯いた。
「なんでそんな恥ずかしがんの?こんな可愛いのに」
「やめっ…も…ほんとに…胸…弄らない…で…くれ」
擦れた有志の声が風呂場に響く、それだけで智希の下半身は簡単に膨れあがった。
「あっ…とも…智の……当たってる…」
「うん、だって父さん可愛すぎるんだもん」
「あっ…!やぅっ」
むき出しになった首筋にキスを落とし吸い上げると、有志は体を震わせ無意識のうちに智希の股間に自分の尻を押しつけた。
ほんと、こんなエロくなっちゃって嬉しいけどまじ不安だよ。
割れ目に反ってゆるゆると智希のペニスを擦り上げ、喉を高く上げ妖しく唸った。
有志が腰を動かす為湯船の中のお湯がどんどん溢れ出ていき、気づかない本人はひたすら喉を鳴らし智希に擦りつける。
「父さん…お湯なくなっちゃうよ…」
「へっ…なん…でっ」
「父さんが気持ちよさそうに腰振るからお湯が出てっちゃう」
「あっ…ご、ごめん…」
そこで謝っちゃうんだよね。
クスクスと頭の上から聞こえる笑い声を、あまり気分良く思わなかったのか有志はむっと口をへの字に曲げ目の前に伸びる智希の腕を掴んだ。
「も…本当にやめなさい……上がるぞ」
「まだあがんなーい。今上がると湯冷めするって。…それにしてもほんと乳首大きくなったよな」
「だ、誰のせいだと…!」
「んー。俺?」
「あっ!」
一年前は小さかった有志の胸の突起は、丹念に育てられ今ではぷっくりと膨れてしまった。
シャツに擦れると感じてしまうのが最近の悩みである。
後ろから抱きしめ両手でクニクニと胸の突起を弄ると、また有志の腰がビクリと跳ね上がり水しぶきが飛ぶ。
つまみ、押しつぶし、丁寧に胸全体を揉みほぐすと、蕩けて足が震える有志が出来上がる。
「も、ほんと…ダメ…ダメだ…」
「父さんさ、社員旅行とかどうすんの、これ。こんなに膨れてたら怪しまれるんじゃない?」
「そう思うならやめなさい!」
「だってさ、嬉しいじゃん。父さんの体が俺の形になっていってるみたいでさ」
「だ、だからって……毎日…毎日…ここ…吸われたら…ほんとに俺…おかしくなるって…」
もう十分、おかしいけど。
有志は自嘲気味にそう心の中で思うと、それに気づいたのか智希は弄る手を止めぎゅっと強く抱きしめた。
「………」
「………」
沈黙の中、有志は大きくなった智希のペニスを腰に感じ、智希は早くなっている有志の鼓動を感じながら少しの間抱き合った。
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