乱文倉庫
太刀川さん「奈良坂、おまえ不能なんだって?」
奈良坂くん「ふgゴフッ」お茶ビシャア
太刀川さん「いやー何でも及第点以上ってツラしてるおまえがなー彼女と最後までヤれてない上にケツの穴を開発されてるとはなー」
奈良坂くん「っ……されてない」
太刀川さん「ほんとに?」
奈良坂くん「嫌がってるおれに無理やりそんなことするような女と付き合ってる覚えはない」
太刀川さん「でもヤれてないのは事実だろ?」
奈良坂くん「あんたには関係ない」
太刀川さん「あらら、奈良坂くんおこなの? いーじゃんちょっとぐらい男同士仲良くしよーよ」
奈良坂くん「出水と仲良くしてたら良いじゃないですか。おれは忙しいんで、今日は遠慮しておきます」
太刀川さん「じゃあ良いや。鈴原と遊ぶかな。おれ昨日部屋片したし、誰か招きたい気分なんだよね。あ、もし」ブッ
奈良坂くん「ひとの彼女にちょっかい出すのはやめてもらえませんか」
太刀川さん「冗談だって、スマホ返せよ。……おまえの彼女になる前は俺の可愛い後輩だったんだけどなー。そりゃもう奈良坂先輩ウザい酷い怖いのオンパレードで、太刀川さんとしてはさっさと別れたほうが良いと思うわけだ――まあ良いや、ちょっとこっち来いよ。おまえも、不能だ不能じゃないなんて馬鹿馬鹿しい話、他人に聞かれたくないだろ」
奈良坂くん「……おれと付き合いだしたからといって、あんたの後輩じゃなくなるわけじゃない。なん、如何して鍵を掛けるんだ……?」
太刀川さん「まーな。でも会うたび会うたび『奈良坂先輩のこと気持ちよくしたい』とか『そろそろ奈良坂先輩の勃起力の持続について真面目に考えないと奈良坂先輩の機嫌が戻らないかもしれない』とか相談されたくないんだよ。こういう話、他人に聞かれて平気なら鍵外すけど、どうする?」
奈良坂くん「……二人きりでコソコソ何を話してるのかと思えば……相談されたくないなら、そう言えば済む話じゃないですか」
太刀川さん「浮気とかじゃないから、安心しろ。おまえと付き合いだしてから、まー俺とのスキンシップ全然なくなっちゃって……」
奈良坂くん「あんたたちのスキンシップは、恋愛関係にあるわけでも、血縁関係にあるわけでもない、まるっきり他人の十五歳女子と成人男性がしていい程度のものじゃなかった。当然の結果だ」
太刀川さん「鈴原が俺の膝に乗っての援交ごっことか、凄い楽しかったのに……今じゃ俺が頼まないと『太刀川さん大好き』とさえ言ってくんないからな……」
奈良坂くん「……おれと付き合ってからもタイムカプセル一緒に埋めたり、馬鹿を満喫してたじゃないですか。あと、そんな台詞は、彼氏であるおれにも滅多に口にしないんだから、単なる先輩に過ぎない太刀川さんが強請るのは烏滸がましいと思わないんですか」
太刀川さん「奈良坂。単なる先輩じゃない、彼氏との発展具合について相談できるぐらい信頼を置かれてる先輩だ」
奈良坂くん「きよらの頭をコンクリで殴れば、あんたへの信頼が吹っ飛ぶというなら、おれは躊躇なくコンクリを探しにいきます」
太刀川さん「え、透くん、彼女のこと殴れんのー?」
奈良坂くん「これ以上の生き恥を垂れ流されるぐらいなら、ICUに入ったきよらの世話をしているほうがマシだ」
太刀川さん「コンクリで殴るより、生き恥垂れ流さすよりさ、さっさとヤッちゃうのが一番良いと思うんだけどなー。流石の俺もマジで五歳下の子供に惚れて、嫉妬してるわけじゃないし。……おまえ、鈴原になんかしたろ」
奈良坂くん「……あいつのことを傷つけるようなことはしてません」
太刀川さん「そういう真面目な話でなく、最初にセックスしようってなった時か、それ以前に、ちょっとガッついて、鈴原を怖がらすようなことしたんじゃないの? っておにいさんは聞いてるわけ」
奈良坂くん「きよらがそう言ったんですか」
太刀川さん「いや、俺の推測。でも鈴原がおまえとのこと相談しにきた時期と、俺とのスキンシップ避けだした時期って大体符合するし――まあ正直なところ“怖い”とは言ってたよ。俺の意図するとことは違う意味合いかもしれないけど」
奈良坂くん「……」
太刀川さん「可愛い後輩のためだし、俺はおまえの先輩でもあるわけだしな? 何か相談したいことがあるなら、太刀川さんが聞いてやるぞ」
奈良坂くん「……」
太刀川さん「言っておくけど、流石の俺もおまえらの発展具合を他人に言いふらすほどデリカシーないわけじゃないし、鈴原からも口止めはされてる。その証拠に、こういう人がいない場所でしか、おまえとのセックスの話は聞いてない」
奈良坂くん「おれとしては、人気のない場所に二人きりでこもられるほうがずっと不快になるんですけど……あんたの言う通り、最初に……」
太刀川さん「理性が切れて無理やり色んなことしちゃった? がっついて、制止の声無視した? ばっかだな、おまえ。なんでそんときに挿入しちゃわなかったんだよ。彼氏彼女なんだから、相手がやや嫌がってようとなかろうと、そんなん最後までヤッたもん勝ちなんだよ」
奈良坂くん「合意ではあった」
太刀川さん「でも、鈴原を怯えさすようなことはしたと」
奈良坂くん「……向こうからセックスしようって呼び出されて……ただ、きよらはまだ十五歳だし、付き合うのとキスまでに大分時間が掛かったから、単にひと肌恋しいだけだろうと……避妊具を持ってかなかった……」
太刀川さん「それがヤんなかった理由なわけだ。で、具体的に、何をしたらセックスに大乗り気な彼女を怖がらせられるわけ?」
奈良坂くん「……」
太刀川さん「ここまで来たら、素直に言っておいたほうが良いんじゃないのか? 俺に変な風に誤解されるのも癪だろ」
奈良坂くん「……何もする気はなかったが、次第にそういう雰囲気になって……きよら自身が乗り気なようだったから……最後までしなければ良いだろうと……まあ……きよらの反応が……新鮮で、」
太刀川さん「よーするに理性が切れてガッついちゃったけど、いざ挿入するって段になって“コンドームがないからダメだ”って理性と、鈴原が怖がるので我に返ったってところか」
奈良坂くん「……」
太刀川さん「鈴原の好き放題にキレるでもなく我慢してるあたり、その時に泣かれたんだろ」
奈良坂くん「きよらから、聞いたんですか」
太刀川さん「いーや。鈴原から聞いたのは、おまえと最後まで出来てないってことだけだ。それ以外は、おまえと付き合ってるって知ったのも先月末ぐらいだし」
奈良坂くん「……じゃあ、何を相談されてるんですか」
太刀川さん「まず、腹部の傷見て引くか如何かって不安がってたな。その次に、騎乗位についてとか、挿入せずに男性を気持ちよくするには如何したら良いかって、そればっか」
奈良坂くん「……」
太刀川さん「そりゃ、おまえとしては俺に早漏云々知られただけで嫌だろうけど、鈴原は鈴原なりにおまえに惚れてて、尽くそうとしてんだから、おまえも変に気ぃ使わず、自分がしたいようにヤッとけ」
奈良坂くん「……はあ」
太刀川さん「結局あいつが怖いのは、おまえに抱かれることじゃなくて、おまえに嫌われることなんだからさ。……大事にしろよ」
奈良坂くん「言われなくても、大事にしたくない相手と交際するほど暇じゃありません」
太刀川さん「つーか、おまえら絶対相性悪そうなのに……おまえは相変わらず鈴原に対してスパルタだし、よくもまあ付き合ってられるよな。しかも互いにベタ惚れっぽいし。何? 鈴原のどこが良いわけ」
奈良坂くん「太刀川さんは、おれよりかずっときよらと親しいんだから、あいつの長所なんて今更おれに聞くまでもないんじゃないですか」
太刀川さん「おまえの口から聞きたいんだって。それに、今のところ、俺にとっての鈴原は恋愛対象じゃなくて単なる妹分だよ。おまえがそこまで大事に思うほど魅力的かっていうと、どうもピンとこない。……減るもんでもなし、教えてくれや」
奈良坂くん「……おれのことをなんだと思ってるんですか」
太刀川さん「生真面目堅物優等生。ま、三輪よりかは人間臭いよなーって思うけど、それでもやっぱ、おまえは鈴原みたいな、頭軽い女を好きになるタイプじゃないだろ」
奈良坂くん「きよらは馬鹿だけど、頭が軽いわけじゃない」
太刀川さん「あれ、奈良坂くん怒った?」
奈良坂くん「きよらは……確かにきよらは勉強は出来ないし、危機感に乏しいし、頭が大分夢見がちで、注意力も散漫だけど、洞察力と反射神経には優れてるし、他人を見る目もある。単なる馬鹿じゃない」
太刀川さん「おまえ、仮にも彼女に対して酷いことをバッサバッサ言うな……少しは褒めてやれよ」
奈良坂くん「洞察力と反射神経に優れてるし、他人を見る目がある」
太刀川さん「いやさ、褒めてるけど……! 褒めてるけど、そこに惚れたんなら、おまえ、風間さんか蓮と付き合ったら良いじゃん……?」
奈良坂くん「……可愛かった」
太刀川さん「は?」
奈良坂くん「だから……可愛かった、んです……笑った顔が」
太刀川さん「……ちょっと待て、もしかして、おまえ、えっ……いつ? あんなにボロクソに扱ってたくせ、鈴原の顔が可愛いことはちゃんと認識してたのか? ツチノコ探して排水溝引っかかるようなアホだって知る前のことだよな? おまえ、まさか枯れ井戸に入って出れなくなるレベルの馬鹿だって知って尚“笑った顔が可愛い”とか思えるほど器デカくないよな? つーか、そもそもおまえ……おまえが鈴原のこと弟子にしたのって……顔か?」
奈良坂くん「……人聞きの悪いことを言わないでください。基礎が疎かで詰まらないミスに足を取られはしていたものの、射撃能力自体は最初から優れてました。誰かが根幹から教えてやればA級に上がるのも容易そうだと思ったから、」
太刀川さん「奈良坂。おまえは面倒見悪いタイプじゃないけど、何の見返りもなしに他人の才能を磨いてやるようなお人よしじゃないよ」
奈良坂くん「……」
太刀川さん「一目ぼれかー」
奈良坂くん「……きよらに変なこと吹き込まないでくださいよ」
太刀川さん「何? 奈良坂くんは、訓練場で見かけた鈴原が可愛かったからつい声掛けちゃったんだ? そーだよな、おまえ最初っから鈴原のこと名前呼びだったもんなー。二年越しの恋が叶って良かったじゃん」
奈良坂くん「一年ぐらいは“こんなのと関係を持つんじゃなかった”と忌々しく思うことも少なくなかったし、最初から特別な好意があったわけじゃない。名前で読んでたのは、苗字より短かったからで、他意はなかった」
太刀川さん「じゃ、なんでセックスしたいって思うまでになったんだ? いーじゃん、もうここまできたら全部ゲロってこう。鈴原のこと色々教えてやったろ? おまえらの性生活にかなり奉仕してるぞ、俺は」
奈良坂くん「そういう言い方は生理的に受け付けないから止めてください」
太刀川さん「はいはい。まーなんだ。あれか? 鈴原は虚勢はるのが上手いからな。おまえは日常生活上では鈍いっつーか他人に関心ないほうだし、瞬間的に“こんなの”と判断して渋々付き合ってたものの、長く一緒にいるうちに自分の判断がズレてたのが分かったから深く知りたくなって、よくよく観察したら、自分を見てないのが分かったんで、それで振り向かせたくなったんだろ」
奈良坂くん「それは……太刀川さん、年相応の台詞も喋れるんですね」
太刀川さん「さり気なく無礼だな、奈良坂。……俺は虚勢も鈴原の一部だと思ってたけど、あいつが薄っぺらく笑ってたいならそれで良いとも思ったしさ。これからも、鈴原との関係はそんなんで良いと思ってる。おまえがなんで鈴原のこと好きになったのか、俺にはずっと分かんないんだろうなあ」
奈良坂くん「べ」
きよら「ねえちょっとやめて!!!! ごめんなさい!!! とーるさんやめて、謝るから太刀川さんと一線越えるのはやめて!!!! バイブはもうクーリングオフしたから!! やだやだやだ女の子と浮気するなら良いけど古寺くんと太刀川さんだけはやめて!!! あと五秒で出てこなかったらアイビスで部屋ごと消す!!! やめて!!! 開けて!!!! とーるさん!?!?!」バンバンバンバンバンバン
奈良坂くん「きよら……どっから、なん……」
太刀川さん「……な? 鍵かけておいて良かっただろ、とーるさん。なんだよ、おまえも二人っきりの時には鈴原のことをきよらん(はーと)とか言ってるんじゃないだろうな。それだと緑川の真似してるだけか」

ドキッ男だらけ(二人)の大不能大会


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