「トバリがさ」
「なに、彼女出来たの?」
「そうじゃねーよ。前に話したろ、十歳下の妹分がいるって」
「ああ。なんだっけ、不愛想で無口で礼儀知らずの?」
「そう、それ。そいつな。ちょっと前から表情が丸くなったんだよ、特定条件下でのみだけど」
「へえ。良かったじゃない。特定条件下ってのがアレだけど」
「なんか友だちの弟を気に入ってさ、そいつの話してるときだけ表情ほぐれんの」
「じゃあ、普段はまだ不愛想で無口で礼儀知らずなんだ?」
「改善されては来てる。だから、誕生日も近いしパーッとなんかプレゼントでもやろうかなって」
「なにが“だから”なの? 点数稼ぎ?」
「いや、わあ〜!嬉しい!とかなったらもう少し表情筋がほぐれるかもしれないだろ」
「点数稼ぎじゃない。何あげるわけ? ゆっとくけど、オレはそーゆーのわかんないかんね」
「それがなあ、紅とかに聞いても参考になんないだろうから、直接本人にきーたんだ、オレ」
「うん」
「芝生と目土が欲しいって言われてさあ」
「しばふ?と、なに?」
「芝生と目土。それかスプリンクラーだとよ」
「何に使うの、ソレ。庭に敷くの? 業者入れたほうが手っ取り早いんじゃない」
「自分で庭に敷くんだろ、多分。あいつ庭の手入れ好きだし」
「四歳で庭の手入れが趣味って渋いね。しかもお花じゃなくて芝生」
「なんかさあ……もっと他にあるだろ? もうすぐ五歳になろーっていう女子だぞ?」
「お人形さんがほしいとかゆってほしかったわけだ。不愛想で無口で礼儀知らずの妹分に」
「そんなもん欲しがるわきゃねーってのは分かってたんだ。でもスプリンクラーと芝生、目土はないだろ、園芸店で『ラッピングお願いします』って言うのかよ……罰ゲームにちけーわ」
「スプリンクラーは無理そうね、ラッピング」
「だよなあ? 芝生と目土かなー」
「不愛想で無口で礼儀知らずのトバリちゃん、わあ!芝生と目土だ〜!って喜んでくれるかな?」
「礼は言ってくれるだろ多分、礼ぐらいは」
「そりゃすごい」
「カカシ、お前トバリのこと馬鹿にしてるだろ」
「自分でぶあいそだ、しゃべんねえ、かわいげがねえ、礼儀知らずだって言ってたじゃないの」
「そうだけどさあ……少しは可愛いとこもあんだよ、一応」
「どこらへん? 芝生あげると事務的にお礼言ってくれるとことか?」
「だから……その、四歳だし……アレだ」
「うん?」
「その、ほら……背が小さい」
「なんか、ごめんね」
「四歳だぞ、四歳。許されるだろ、不愛想で無口で礼儀知らずでも」
「よくやるねーアスマも。オレなら一日で投げ出すよ、可愛げもない子どものお守りなんてさ」
「なくはないんだ、なくは。それなりに可愛くはあるんだ」
「背が小さくて? 育ったらどーすんの。デカくて不愛想で無口で礼儀知らず」
「……どーすっかなあ」
「がんばってネ、アスマおにーさん」
アスマとカカシと雑談
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