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▼ (19)その日まで

「いやぁほんま助かりましたわ、ミスターマーベリック」

シュテルンビルトシルバーステージのマンションの屋上で電話をかけた。
前団長リック・カーネギーにより一般人の手に渡ったチャームはすべて回収、もうシュテルンビルトに用は無い。これから更にシャルルのネクスト能力で海外に飛ぶ。

『こちらこそ、いつも君たちのネクスト能力に助かっているよ。
バーナビーにもうまく言ってくれたようだね。
ところで、君はいつまでリックの真似をしているんだい?』

人の良さそうな男の声がスピーカーから聞こえる。正義を愛するフリをして、
すべて自分の為に繋がる事にしか興味のない男の声。

「……僕が普通に喋ってもつまらないでしょう。
カンサイベンってだけで雰囲気変わりますからーーまあ、もうお手本もいませんしちょっと変かもしれませんけど」

『そうか』

「団長……リックの件、スワローテイルの件ももみ消しありがとうございました」

『彼は本当に残念だったね。不幸な『事故』だった……
彼も昔はやり手だったのだが……君や君のお姉さんを虐げるような人間は、ね
優秀なネクストは宝なのだから……』

「うちの団員たちもこれからどうぞよしなに」

『もちろんだよ。あの組織で彼らも活躍してくれるだろう。君は、これからどうするんだね』

「まあ、しばらくバカンスですなぁ。
そのうち残りのチャームの噂が出たらまたシュテルンビルトに戻ってくるかもしれないですねぇその時はどうぞ宜しくお願いしますわ」


では、と通話を切った。

「なんやリツ、まーたバーナビーはんとタイガーはん達のこと見てたんか」

「……」

フェンスの向こう、
彼方に暴走する車を追いかけるヒーローたちの姿が見えた。

「お別れの挨拶しに行こか?捕まらん程度にやけど」

「いい」

フェンスから離れ、手を差し出してきた。

小さな手。

「ほな、行きましょーかね」

その手をとり目を閉じる。


「そのしゃべり方やめて。
……じゃあ移動するよカカオ。酔って吐かないでよね」

「そん時はごめん」

シャルルの体が青く光る。



目を開ければそこは、これから生きる新しい世界だ。





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