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▼ (7)21カラットのダイヤモンド

「ええですよ〜、どうせ戻ってくるんやし」

カカオさんの元へ謝罪しに行けば、むしろお手数おかけして、と逆に頭を下げられてしまった。

「え……? しかしあのダイヤは……」

「あのダイヤが何か? スワローテイルはちゃんと盗んだものを返す。
トリニティ・サーカスの宣伝になる。
ウィンウィンやからモーマンタイですな!」

心底楽しげにカカオさんは手をたたいた。
今までの被害者とは明らかに違う反応。やはり彼は何か事情を知っているのだろう。

「カカオさん、カカオさんはスワローテイルが盗むものがどういうものがご存知ですよね」

「んん?業界では有名ですよぉ。スワローテイルは人を誘い込む魔法がかけられたモノを狙う。
返って来たモノにはもうその魔法が消えている……」

魔法?そんな物があるはずが無い。

「まあ、魔法なのかネクスト能力なのかは分かりまへん。どういう仕組みなのかサーッパリわかりまへん」

「だっ それってサーカスの集客とか……」

「アレはウチのサーカスの人気には関係ナイナイ。さすがに怒りますよタイガーはん」

口角は上がっているが目は笑っていない。

「失礼しました。」

おじさんを遮り謝罪する。
この人は口を開かない方がいいかもしれない。
女王の庇護は何かの比喩だと思っていた。だが、カカオさんの言葉を加味すれば、比喩ではなくやはり何かしらのタネがある。
そのタネがネクストなのか、ネクストではない新たな何かなのかは分からない。

「ま、ダイヤが返ってきたら報告しますー。さて、今日はもう解散やなぁ。
明日通しで公演の最終チェックせな。明後日開演や。頼みますよ、ヒーローはん」










「……」


帰りのトランスポーターでは珍しくおじさんは真剣な顔をして考え込んでいた。

今夜のシャルルのボディガードはファイヤーエンブレムとスカイハイだ。

あちこちに現れたスワローテイルの偽者のことも分からない。
画像の解析を待つしかない。今のところスワローテイルに連敗、そろそろ捕まえないとまずい。

厄介なのはテレポートのネクスト。
捕まえたとしてもアレで逃げられたらどうしようもない。

スタチューオブジャスティスを狙ったロビン・バクスターの所在転換のように何かしらの制限があるならば対策も考えられる。
しかし今の時点では対策を練るには情報不足だ。



『ボンジュー・ヒーロー』

「!」

腕のPDAが震え、応えればアニエスさんだった。

『スワローテイルの犯行は次でラスト』

「ラスト?」

おじさんが不思議そうに聞き返す。
『新しい予告状が届いたの。
シュテルンビルトではこれが最後、ってね。』




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