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「お次はライオン像ですか」

ヘリペリデスファイナンスのライオン像が動き出しニューモルゲン地区に向かって走り出したらしい。

ヒーローTVのヘリが旋回した。ライオン像を追うのだろう。

「お先にどうぞスカイハイ。私はワイルドタイガーを見張ります」

ワイルド君とバーナビー君はハンマー像に捕まってしまい動けない。

「ではお先に!」

動いている石像よりワイルド君の方が被害を出すと思っているのだろうか。

壊し屋という二つ名の業の深さはおそろしい。






『その石像は文化遺産よ!内務省から傷つけるなってお達しがあったわ』

アニエス君から通信が入る。

ロックバイソン君やドラゴンキッド君では傷をつけてしまうだろう。

私はさらにスピードをあげた。







スカイハイを見送り、私はワイヤーを使い下に降りる。とめておいたバイクにまたがりスティールハンマー像の近くまで走らせた。

ハンマー像が動かないところを見るとどうやらこのネクストは一体ずつしか操れないらしい。

「ボクはバニーじゃナイ♪バーナビーでスッ♪」

「そんな言い方はしていないっ!!」

「そんな言い方はしてイナーイッ♪」

近づけばワイルドタイガーがバーナビーをおちょくっている会話が聞こえた。

ワイルドタイガーがハンドレットパワーを発動したようでハンマー像の手が砕け散った。

この壊し屋め。

そのままバーナビーの方の手も壊すのかと思いきや、なんとそのままビルとビルを跳び去ってしまった。

私は捕まったままのバーナビーを見上げる。

ごめんね、バーナビー。

私の力では助けられない。心の中で謝って壊し屋を追うためバイクを走らせた。






ライオン像の通った跡は凄まじかった。アスファルトはひび割れめくれてしまっている所もある。車を踏んだのか、ぺしゃんこの車両もたくさん転がっていた。

個人の所有物に関しては基本的にノータッチなのでノートにはメモしない。

ライオン像の進路を思い出す。ライオンはどこに向かっているのだろう。
まさか街を縦横無尽に破壊しながら進むだけが目的ではないはずだ。


『シュテルンビルトスケートリンクビルだ!!』

PDAから聞こえた声に私は頭の中で地図を描く。

冗談じゃない。あそこはガラス張りだ。
あそこで暴れられたら、ガラスの雨が降り注ぐことになる。

私は急いでヒビだらけのアスファルトの上を走らせた。


「子供がライオン像にのっている!人質かもしれない!」

スケートリンクビルに到着するとスカイハイが降りてきた。

ビルの中には既にワイルドタイガーとバーナビーが入ったらしい。

「人質?」

まさか。犯人の要求も目的もはっきりしない今、人質というよりはその子供がネクストである可能性の方が高い。

どこまでこの人はお人好しなのだろう。

私はバイクを邪魔にならない所に止め、チョークを取り出した。

ドラゴンキッドや折り紙サイクロンが避難誘導をしている。

私はガラスの修理は苦手なので是非とも早めに避難完了させて欲しい。

大きなパーツならまだしも、粉のように細かくなったガラスを知覚するのは無理だ。

私の能力はパーツを見て理解しなければ意味がない。へんてこな物体を生み出すと私が賠償金を支払うハメになる。

念のためスケートリンクビルをぐるりと線で囲み、ビルの中に入った。



中はガレキが散乱していた。足場が悪い。

エレベーターは使えないので耳をすましながらひたすら階段を登る。

これは絶対明日筋肉痛だ。

ふとワイルドタイガーの声が聞こえた。
内容的にやはり子供が犯人のようだった。

ワイルドタイガーは子供を説得し警察に自首させるようで、これ以上の破壊はないと判断し、私はスケートリンク内の破損状況を何枚か写真におさめゆっくりと階段を下りた。

ちょっと足がプルプルするのはヒミツ。

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