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工業地区のハンマー像が動いている。

関節機構を持たない金属の塊がまるで生きているかのように動き歩いている。

像の周りを飛び観察するがどうにも手出しできずにいる。

こんな大きなもの、どう相手をしたらよいものか。


ブルーローズが氷で足元を固めたがあっけなく氷は砕かれ何事もなかったかのようにまた歩き出した。


そして気になるのが……ワイルド君とバーナビー君だ。

ワイルド君はトップマグからアポロンメディアに移籍、期待の新人とコンビを組むことになったらしい。

が、どうにも息が合わないらしく、


「!」


ワイヤーが絡まりなんとふたりを縛り付けてしまった。

ふたりめがけてスティールハンマー像の大槌が振り降ろされた。







「やあリツ!」


「お疲れ様です、スカイハイ」


ビルの屋上で双眼鏡片手になにやらメモを書いているリツを見つけた。

彼女の横に降り立つと、飛ばないようにリツは膝でノートを抑えた。

「リツも呼び出されたのかい?」

「ええ。あちこち壊しまくってますからね、あのハンマー像」

「動かなくなってしまったね」

「これで終わり……ですかね?あれ、どうやって元の場所に戻すんでしょう?」

スティールハンマー像は大槌をワイルド君とバーナビー君に振り下ろしかけて動きを止めた。

間一髪、彼らは平らにされずに済んだ。

「おそらくネクストの仕業でしょうが、目的が見えません」

これから先まだまだ街が破壊されるのか、それともこれで終わりなのか。リツは修繕のタイミングをはかりあぐねているらしい。

「それは?」

リツのノートをのぞきこめば建物や通りの名前に番号が割り振られていた。何度も振り直したのかぐしゃぐしゃと線で消され、また書き直されている。

「修繕の優先順位です。3回しか使えませんから、より深刻なところから治す予定です。が、またハンマー像が動き出してどれくらい被害を出すのかがわからなくて……」

ワイルド君のハンドレットパワーやリツのネクスト能力は発動回数、時間に制限がある。彼らの能力はとても凄いが、反面制約がある為万能とは言い難い。

幸い今すぐどうにかしなくてはいけないほどの被害があるわけではないらしく、リツはまた双眼鏡を覗いてスティールハンマー像を観察していた。

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