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現場には消防の車に混じり中型の黒いバイクが停められていた。
リツのバイクだ。
よくよく見ればマンションの周りや壁に白いチョークの線が複雑に引かれている。倒壊防止の処置なのだろうか。
ベランダから人が身を乗り出して助けを求めていた。すぐさま助け出し地上へ下ろす。
何往復かしたところでまたバイクが一台到着した。
「私の氷はちょっぴりcold!」
ブルーローズだ。
彼女のネクスト能力があれば火災はあっという間に鎮火するだろう。彼女の後ろで折り紙サイクロンがいつものように見切れている。
続けてファイヤーエンブレム、ロックバイソンが到着、ドラゴンキッドはいつのまに来ていたのか避難誘導をしていた。
「きたぞ!ワイルドタイガーだ!」
お決まりのセリフとともに現れた彼はハンドレットパワーを発動し、次々と救助をしていく。
消防隊とブルーローズのおかげでほぼ火は消えた。
他に人がいないか呼びかけ中をのぞきながらぐるぐると飛び回る。
と、熱気の残る部屋の中にリツを見つけた。
すすがついたヘルメットと作業服。
「リツ!大丈夫かい!?」
私の声にパッと顔を上げ、手を振った。
「大丈夫、これから消防の人たちが調査で中に入るから、倒壊防止!」
彼女の作業が終わるまで見守り、窓から彼女を外へと運び出した。
「煤だらけだね」
「うーん、燻されちゃった……あ、私の事だっこしたからスカイハイまで黒く!」
「なに、これくらい構わないさ」
数少ない、君に触れるチャンスなのだから。
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