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▼ 季節外れの筍ご飯と

朝市に行ったらシュテルンビルトではまずお目にかかれないものが売っていた。

「た、たけのこ!」

皮をむかれ水煮状態でパウチに入った筍が山のように積まれていた。

「お?お嬢ちゃん安くしとくよーどう?」

ダンボールにマジックで書かれただけの値札がきゅ、と目の前で書き換えられた。

「安!」

「ここらのやつは筍あんま知らねーんだな。俺も好きでね、珍しいから仕入れたんだが……」

買う人はほとんどいないらしい。

「ほぼ仕入れ値だ!この山持ち帰る方が燃料代赤字だからな」

破格の値段に思わず買い物袋いっぱいに買ってしまった。





イワンくん、ご飯誘ったら来てくれるかな。

エレベーターの中でメールの文章を書いては消して、結局送信できたのはお昼過ぎだった。









「!」

スマホのバイブレーションに気づき見てみると、リツさんからのメールだった。


内容に思わず口角が上がる。
もちろんOKの返事を送った。

嬉しくて返信した後もメールを見ていたら「なぁーににやけてんだ折紙」

「わあっ!」

後ろから画面を覗かれ思わず跳ね上がる。

「へーえ?」

タイガーさんはニヤリと笑う。

「やるねぇ折紙ィ」

ぐにぐにと力任せに肩を揉まれた。

「男なら決める時はビシッと決めろよ?」

余計なお世話です、と心の中で返事をしておいた。




約束の時間にリツさんのマンションにお邪魔した。
今度は警備員に止められることなく、エレベーターの操作もしてくれた。

インターホンを押せばリツさんの声とともに戸があいた。

「いらっしゃい、イワンくん!」

「おじゃましますリツさん」



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