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「リツ!ありがとうなっ!昨日直してくれたんだろ?」
「トップマグから要請がありましたので」
トレーニングルームのテーブルでイェルシーは電卓をたたきながらなにやら書類を書いている。
「だっ!だからかぁ……」
「私は基本的にはボランティアなんてしませんよ」
「で、でもさんきゅーな……」
彼女の言葉に思わず身がこわばる。
ボランティアなんてしない。
では、私にたまに能力を使っているのは……?
私が知らないだけでポセイドンラインに請求がいっているのだろうか。
明日、お礼にリツの好きなものでも買っていこう。
書類ができたらしいリツは封筒に入れ糊付けをすると、それを持ってトレーニングルームから出て行ってしまった。
『ボンジュー、ヒーロー』
PDAから呼出音がなりそれに応えれば聞きなれたセリフが聞こえてきた。
『イーストシルバーでマンション火災よ。逃げ遅れた人がいる模様。救助要請が……』
最後まで聞かずに私はジャスティスタワーの下で待っているはずのトランスポーターに向った。
移動中のトランスポーターでヒーロースーツに着替えジェットパックを装着する。
天井のハッチから外に出ると私は勢いよく飛んだ。
ビルの合間からもうもうと黒い煙が天へと上っているのが見えた。
かなり激しく延焼しているようだ。
私はスピードをあげ現場へと急いだ。
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