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「お疲れ様ですリッター」

「お疲れ様ですバ……バーナビー」

今日も雑誌の取材だ。
早々と撮影を終えたワイルドタイガーは隅のソファでうたた寝をしている。

「バニーと呼んでもいいんですよ?」

「それはワイルドタイガーさんだけの特権だと考えます」

彼の提案でまずはバーナビーと名前呼び。
彼はリッター、と呼び捨て。

仲が良いのだとスカイハイや周囲に知らしめるためのちゃちな小芝居。

「やあ!おはよう!そしてお疲れさま!」
スカイハイが控え室にやってきた。
まだなんとなく顔を合わせづらく、リツはそっと視線を外した。

「おはようございます」
「おはよう、スカイハイ」

そして、いつもより物理的に距離が近い事をアピール。
ヒーロースーツ姿のステルスリッターに、スーツ姿のバーナビーブルックスJr.が肩に手を置いている。

「…………」

ヘルメットでスカイハイの表情がわからない分、無言が恐ろしい。

「あ、そうだリッター、ここのお店行きませんか?」
「え? 街歩きの収録なら僕は無くなりましたが」
「それとここもいいですね。オープンしたてらしいですよ」

バーナビーは雑誌を次々とめくり次々とデートに誘う。
ちょっとやりすぎではないだろうかとリツの背に冷や汗がにじむ。

何か感じ取ったのかスカイハイが無言でリツを見ている。


(怖い、怖すぎる!)




「次、スカイハイさんとステルスリッターさんお願いします!」

無情にも、一人づつの撮影ではなく、二人一緒に呼ばれてしまった。











「ずいぶんとバーナビー君と親しそうだが?」

「はいポーズお願いしまーす!」

「彼がワイルド君以外の人間に」

「次こちらに座ってくださーい!」

「あんなに仲良くしているところ」

「飾り持ち上げてみてください! はい! すっごくいいですね!
スカイハイさん首もう少し傾けて! はいありがとうございまーす!」

「見たことなかったけれどね」

明らかに声が不機嫌だ。

「……そう、ですか」

「ではお二人決めポーズお願いします! ああもう少し近づいて! 」

「今夜話せないかな」

「ごめん、予定があるから」

「では明日なら」

「会社でなら、大丈夫」


もうリツは前に進みたかった。

協力してくれるバーナビーブルックスJr.のためにも、二人きりになるようなキースの自宅には行くべきではないと考えた。

本当は、一度ぶり返した気持ちを押し込めきれずに、今にもキースに縋ってしまいたかったが、
愛を勘違いしていると言った本人の愛しているという言葉は深くリツの胸をえぐる。

ヒーローになる前の楽しい関係に戻れたら。

無理だとわかっていてもリツはそう願わずにいられなかった。






オマケ
「……久しぶりに私の家にこないか?」

「……」

「ジョンも会いたがっている」

「……じゃあ少しなら」











「わ、私はジョンに負けたのか……」

「どうしたのスカイハイさん」

「私はジョン以下……」

「ドラゴンキッド、今のスカイハイに話しかけても無駄よ」




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