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ーーヒミツですよ?
そうな笑って彼女の手から溢れる青い光を私に浴びせた。
ーーパトロールお疲れ様です。疲労回復、です。
どういう仕組みか一度尋ねたことがあるが、なんだか難しい言葉が沢山出てきて私にはよくわからなかった。
けれど彼女は対象物の仕組みを正確に理解し、壊れてしまったものや怪我などを元通りなおすことが出来るらしい。
失ったものまでは戻らないのでパーツがすべてその場にないとうまく戻らないのに無茶ばかり言われる、
と文句を言っていたのを覚えている。
そろそろ終わっただろうか。
モノレールの方向を見れば既に綺麗にレールが真っ直ぐになっていて青い光は見えなかった。
急いでリツがいた所まで戻れば、彼女の姿は無く、綺麗に修繕されたレールにチョークで線が引かれた跡だけがあった。
遅かったか。
彼女は私のように飛べないが、ワイルドタイガー君のようにワイヤーを射出し引っ掛け自由にシュテルンビルトを跳ぶ。
ワイルド君のように流石に片手では体を支えられないので両手で飛んではいるが、
初めて見た時は感心したものだ。
緊急性があれば我々ヒーローが交戦中の現場にだってチョーク片手で作業服にヘルメット、ゴーグル姿で現れる。
修繕係といえど身体はヒーローと同じように鍛えているらしいが、運動は嫌いだとこぼしていた。
あと一周まわったら帰ろう。
煌々と明かりが灯るシュテルンメダイユを、見下ろしながら私はいつもよりスピードをあげて飛んだ。
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