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「すみません、スカイハイ」

リビングのソファで寝かせてしまうのは心苦しいが、
私のベッドはシングルだし、客用の布団なんて無いしで申し訳ないと毛布を手渡し謝る。

「大丈夫だとも。気にしないでくれ!」

スカイハイがうちにいる。
サムくんのガードのためとはいえ、なんだか落ち着かない。

もちろんいて欲しくないとかそんな意味ではない。
照れるというか気はずかしいというか。
初めのうちはテレキネシスのサムくんをどう面倒を見たら良いのかとそればかりを考えていて、
サムくんが寝付いてしまってからはまるで2人きりのようでなんだか落ち着かなかった。

スカイハイは何でもないようでいつも通り。
私だけそわそわしているのかと思うとなんだか情けない。

お風呂上りに一度サムくんがテレキネシスを発動させただけで、平和に終わった。
明日はスカイハイはポセイドンラインの広報のお仕事でいないので朝からジャスティスタワーに行く事になっている。

夕方からはバーナビー・ブルックスJr.の家にサムくんとおじゃまする事になっている。

「スカイハイ」

「なんだい?」

「もうすぐ日付も変わりますし、おすそ分け、です」

ネクスト能力を発動させる。
青い光を纏ったままスカイハイの手に触れる。

少しでも、疲労が残らないように。

「ありがとう。リツ」

スカイハイの笑顔に私も笑みを作って応えた。












「おすそ分け、です」

そう言って彼女は私の手をとる。
青く光る彼女の手に包まれじわり、じわりと温もりが体中に広がる。

負荷のかかるようなハードなトレーニングをしたわけでもないが、それでも体が楽になっていくのがわかる。

やがて光がおさまりリツの手が離れる。
「ありがとう。リツ」

手を離さないで欲しいのに。



離れた手を今度は私が手を伸ばして掴む。そのままリツの体を腕の中に収めた。

「名前で呼んで欲しいな」

「す、スカイハイ?」

「名前で呼んで欲しいのだけれど。だめかい?」

「えっと、き、キース…………さん」

「さんもいらないよ」

「……キース」

やっと呼んでくれた。
ヒーロースーツを身につけている時は仕方ないにしても、今は名前を呼ばれて困る時ではない。
外でヒーローネームで呼べない状況でしか、リツは私の名前を呼んでくれなくて、少し寂しい。

「いつもありがとう」

感謝の意とほんの少しのやましい心を込めてリツの耳にキスを落とす。

「いいいいいいえこちらこそ!?」

「おやすみ。リツ」

リツは耳まで赤くなっている。

仕事だからと男を家に泊めることに渋るそぶりも見せないなんて。
私は男として見られていないのかもしれない。
だがこれで少しでも意識してもらえたら、私はとても嬉しいよ、リツ。



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