可愛い花ほど棘がある
「なんと!!こんなにキュートな女性が私の本を購入してくださるとは!!光栄ですよ!」 「えー、まぁ、どうも、」 「わざわざ平日にいらしてくださるとは!サービスしますよ!さぁ!この非売品のグッズをあなたにプレゼントしましょう!」 「わー、どうも。(棒読み。)」
今日は、魔法界では有名なダイアゴン横丁に売店で売る商品の仕入れにやってきたのだ。 夏休みにはいって、ほどなく。新学期に向けて品をそろえるための外出で思わぬ出会いがあった。げんざい、奥様からベイビーちゃんまで幅広い女の子たちを魅了している、ギルデロイ・ロックハートである。 人の良さそうな笑顔と、豊かな金髪はとっても素敵だ。 ただし、問題なのは距離である。 先ほどから、私の手を握りしめてきそうな距離で白い歯をちらつかせているため、私としては少々引き気味である。だが、この男が人気があるのは事実だし、ここで非売品をゲットしておけば新学期に女学生たちが喜んで買ってくれるかもしれない!! そう思って、いまおだてにおだてているところだ。
「へぇー。この本も貴方が書いたんですね!!」 「ああ、そうとも!現在人気書籍として書店にて販売中だよお嬢さん。」 「いいなー、けど私あまりお金を持っていないもので・・・」 シュン、と表情を暗くすると彼は慌てた様子で「これは失礼っ、レディにそんな顔をさせるつもりは毛頭ありませんよ!さぁさぁ、こちらの『雪男とゆっくり一年』をプレゼントしよう。ああ、特大ポスターセットもお付けしよう!遠慮は無用!」 誰も遠慮はしませんよーだ。 私はにっこりわらって「ありがとう、Mr.」と告げた。 実費にしたら相当かかるだろう商品を、ただでゲットできるとは・・・なかなかついている。
ルンルンでホグワーツに戻ると、フリットウィック先生に「おや、ミス・ルーシュ。何かいいことでも?」と聞かれた。 「ええ、まぁ。」 「それはいい。けど、あまりよそ見をしていると、」 ガンっ 「いたっ!!」 「階段にぶつける、と言おうと思ったんだがね、」 苦笑がちにそういわれて、私は上りそこなったためにぶつけた足をさすったのだった。 しかも、ちょうど通りかかったスネイプ先輩に鼻で笑われたのはきっと気のせいじゃないはずだ。
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