立場ってものがあるでしょう
学期末テストも無事に終わり、クィリナスがいろいろと揉め事を起こし、ハリーポッターが賢者の石を守ったとか守らなかったとか。 学校中の噂の種になっている話題も、ホグワーツの売店の主人である私にはまったくと言って関係なかった。 いや、もちろんホグワーツに住んでいる時点で無関係ではいられないのだろうけれど、生憎そんなに暇じゃないのだ。 「ええーっ、なんで?なんでです??」 職員室で寮杯の結果を知った私がそう頭を抱えれば、マクゴナガル先生は「すみませんねテオ。」とケロリと言い放つ。 ハリー・ポッターとやらの活躍によってスリザリンを逆転したグリフィンドール。いやいや、ダンブルドア校長・・・あなた贔屓しすぎじゃない?と一言言いたいところである。
「せっかく7連覇かかってたのに。」 6年連続でスリザリンが寮杯を取っていた。今年とれば、今年の7年生はホグワーツ生活が最高の締めくくりになっただろうに。ちなみに、寮監のスネイプ先輩はすっかりご機嫌ななめの模様である。さっさと地下にこもって休暇の準備にとりかかっているようだ。 「まぁまぁ、そう言わずに。」 マクゴナガル先生は、そう言いつつも嬉しさを隠せないようだった。 ずっと賢者の石のことでぴりぴりしていただけに、彼女が嬉しそうであるのは私もとても嬉しいのだけど。やっぱり悔しさも残る。 「来年はまたスリザリンが獲りますから!!」 そう宣言すれば、後ろから「こんな時ばかり出身寮を贔屓するとはいい身分ですな。」と頭を叩かれる。
犯人はもちろんスネイプ先輩だ。 「ひどい、」 「来年度はグリフィンドールの連中にイタズラ道具を売り渡すな。」 我輩の仕事が増える。と、文句を言いながら私を睨み付ける。 「だってお客さんだし、」 「ほう、君は生徒が校則をやぶる手伝いを進んですると?いい加減免職になったほうがいいのでは?」 「先輩がもうちょっと愛想よくなったら考えときますよー。」 だいたい、いつも薬草問屋にせっせと通ってやってるこっちの身にもなってほしい。 そんな思いをうっかり読み取ってしまったのか、スネイプ先輩は私を盛大に睨み付けた。
「まぁまぁ、二人とも。仲が良いのは結構ですが・・・。」 「「良くありませんっ、」」 「・・・・。」 「・・・・先輩のバカ、」 「誰が馬鹿だ。」 先輩は額を抑えて、頭痛がするようなしぐさをして見せた。
「ふふ、」 マクゴナガル先生はくすくすと笑った。 なんです?と私が視線で尋ねれば彼女は「わかった気がして。」と愛想よく笑う。 「え?」 「テオが広間で食事をとってみなさいな、セブルスが相手をするのが大変なだけですよ。」 「先生ひどいっ!!」 私が抗議の声を上げれば、スネイプ先輩は「なるほど。」と頷いていた。 可愛い後輩に向かってなんてことを!!
「言っておくが。」 「へ?」 「貴様を『可愛い』と思ったことは今まで一度もない。」 「・・・・・。」 「失礼する。」
本当、失礼な男である。
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