小説 | ナノ

 シンガポールのホテルにてエボニーデビルを撃退後、私達はアンちゃんも交えて会議を行った。
 まず敵に居所がバレているのなら宿を変えるべきか否か。まずこれはそのままということになった。何せ変えたところで向こうもこっちを「視る」ことができるなら無駄でしょうということ。
 次にアンちゃんをどうするか。彼女は気丈に振舞っていたけど、ここまで連続して奇妙な体験をしたのだから怯えがあってもおかしくない。
 今までの傾向からして、敵側は一般人でも邪魔ならば手にかけるというスタンスだと思われる。逆に言うと私達のそばにいなければ一般人に手を出したりしないわけだ。
 なのでアンちゃんには一人部屋をあてがうことになった。今宿泊している部屋に奇襲されちゃたまらないから、アンちゃんのためにもう一部屋取ってそっちに移動してもらう形だ。
「じゃああとは部屋割りだな」
「部屋割りって……ま、まあそうですよね。一人は危険ですから、ね」
 花京院がもじもじとこっちを見たり何もない空中を見たりと目を泳がせている。
「全員が同じ部屋というのも危険だ。狭い室内だと同士討ちの可能性もあるし、罠を貼られてしまえば全滅の可能性もある。そのため、宿泊施設では今後も二人一部屋を原則としよう」
「公子はそれでいいのか?」
「え?私?うん、なんでもいいよ」
 承太郎は少し呆れたような顔をしてる。みんなの言いたいことはなんとなく分かるけど、今までこれだけの目にあっていて「こっ、こんな野郎ばかりのところにいられるか!俺は一人の部屋へ戻るぜ!」はどう考えても死亡フラグでしょう。
「それじゃあ戦力を均等に分けようか。まずは攻撃能力の低いジョースターさんと公子は別室。一対一が得意な承太郎とポルナレフも別室。そして攻撃範囲が広い花京院と私も別室。ここは依存ないか?」
「ああ」
「あのさぁ、なんかよくわかんないけど、部屋の追加手続きはアタシがしてきたんでいいの?」
「おお、そうじゃな。くれぐれもスイートなんざとるなよ」
「わーかってるって!」
 そう言ってアンちゃんはフロントへ行ってしまった。あれはジョースターさんが止めなかったらランクのいい部屋を追加してた顔だったな。
「分かりやすくするよう、そのペアでAとBを決めよう。ジョースターさんと、ポルナレフと、私がA。あとの皆をBとして、違う記号の人と相部屋になる」
 つまり私はBだから、ジョースターさんを除いてポルナレフかアヴドゥルさんのどちらかと相部屋になるということだ。ん?
「え、私ポルナレフと一緒の部屋はヤだなぁ」
「なぁーんだとテメェ!この俺のどこに不満があるってんだよ!」
「普段からセクハラ多いとこ」
「ぐぬぬ……反論の余地がねぇぜ……」
「では私と同じ部屋でいいか?」
「はい」
 そうすると残りのペアは自動的に、ポルナレフと花京院・ジョースターさんと承太郎ということになる。
「それじゃあ私はあとで、公子の部屋に荷物を移動させよう」
「はい」
 アンちゃんも戻ってきたところで私達はエントランスのソファースペースを後にした。




「おいアヴドゥル」
「ん?どうした承太郎」
「随分見え透いた手使ってくれたな」
「なんのことかな?」
「ほーう、とぼけんのか。皆の意見を取り入れる素振りを見せながら、結局お前と相部屋になるしかないよう上手い事追い詰めてただろってことさ」
「フ。私と代わりたいかね?」
「代わってくれっつったらどうすんだ?」
「断る」
「テメェ……」


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