小説 | ナノ

「空条くんの、甥?」
「違う。俺が甥だ。彼は俺の祖父の息子、東方仗助だ。仗助。こっちは俺の友人の主人公子だ。スタンド能力は戦闘向きじゃないが、本人の戦闘力は俺よりも高い。遠慮せずにどんどん頼ってくれ」
「一言余計よ。よろしくね、仗助くん!」
 そうやって笑った公子さんの顔に、俺は一瞬意識を手放しそうになった。だから承太郎さんが言ってた本人の戦闘力って言葉も、単なる冗談だと聞き流していた。

「一旦意識不明にしちゃえば、大体のスタンドの効力は消えるわ。とりあえずボコす。スタンド使いとの戦い方のコツよ」
 公子さんのスタンドは付近のスタンドと本体の探知をする。スタンドに居場所を割り出させ、いざ戦うのは己の拳一つ。
「公子さん、ケガは!?」
「ないない。コマンドサンボの極意は、自分が傷つかないようにすることよ。ケガ一つ負うわけにはいかないの」
「でもちったぁ俺のことも頼ってほしいっス」
「ありがと。仗助くんがいるから、私も思い切って前に出ることが出来るのよ」
「思い切りすぎだと思うんですが」
 のびきった男を見て、俺はぞっとした。この細身の身体からどうやってあんなパワーが出てくるんだろう。そして、そんな彼女に釣り合うようになるには、俺はあとどのくらいの時間が必要なんだろう。
「さ、働いたらお腹すいちゃった。承太郎に何か奢らせよ。仗助くん、何食べたい?」
「焼肉!」
「ナイスチョイス!んじゃいこー!」
 彼女がこの街に留まる間に、その差を埋める事は難しそうだから。
「公子さんに色々教えてもらおっかなー」
「ん?私勉強は超ダメだったよ。承太郎に聞きな」
「公子さんにしか教えてもらえないことがあるんス!今度お願いしますよ!」
 年下の特権をフルに使って、差ではなく距離を埋めるところからはじめるか。


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