小説 | ナノ

 買って来たばかりのハンカチは、用途を大きく違えていた。汗を、血を拭うためのそれは今、公子の両手を縛り付けている。
「ごめんな、公子」
 この「ごめん」は、昨夜と違って相手に呼び掛けているものだった。けれどもそこに返事はない。
「最初からこうしちまえばよかった。俺のものにしておけば、肩に他の男が寄り掛かったくらいであんなにイライラすることもなかったかもしれない」
 まだヌいていなかったため既にズボンを押し上げるほどに大きくなっている。ドア対応をするために巻いていた腰布を取り払うと、その大きさを目前にした公子は眩暈を覚えた。
「公子はさ、日本にいたときこういうことしたことある?それともひょっとして、旅に出てから誰かとヤった?」
「や……め……」
「確認するからな」
 いつも、公子が歩くたびにひらひらと動く学生服のスカートが気になって仕方がなかった。それをめくり、タイツを破ると、淡い色のショーツに一点染みが出来ていた。
「濡れてる……俺の勃起してるのを見たから?それとも、もしかしてこの部屋に来る前に花京院のトコにハンカチ返しに行ったっつってたな。まさかその時何かあったのか?」
「ちが……ポルナレフ、怖いよ」
「いいんだ。もし他の男と何かあったとしても、これから俺に乗り換えてくれれば怖いことは何もないからな。今までのことは全部俺が、塗りつぶしてやるからよ」
 まずは、今日の白昼夢のような妄想を形にしようと口に強引に突っ込んだ。
「歯、たてるなよ。これが使い物にならなくなったら俺旅からリタイアしねぇといけねぇからな」
 まるで男性の一人でするための玩具のように公子の頭を扱う。尻を上下に動かしながら公子の頭を固定する手に力をこめると、征服欲が一気に満たされていくのが分かる。あの愛らしい公子の口に、自分の汚い性器を突っ込み、口の中に体液を出そうとしているのだ。
 罪悪感はあった。ほんの少しの理性がもうやめろ言っていた。だが、それらも興奮材料の一つに過ぎなくなるほどに、ポルナレフの心は欲を満たすことに夢中になっていた。
「出すけど、飲み込まなくていいから……むしろ、ちょっと吐き出して」
 引き抜きながら射精すると、口の中と外両方を白く汚した。苦しそうにえずき、涙を浮かべる顔を見ると萎んだはずのそれがまた固さを取り戻していくのが分かる。
「公子も気持ちよくなろうな」
 部屋に備え付けてある大きな鏡の前にポルナレフが座り、そこに公子も座るような体制になる。つまり公子は、背後からポルナレフに抱きしめられ、目の前には足を広げて自分の性器がいじられているところが映る鏡というわけだ。
「見えるか?クリをいじられるとこっから汁が出てきてるだろ」
 尻の下に染みができているのがわかる。この痴態を見られるのが怖くて、助けを呼ぶことも出来ない。そして神経がそちらに集中して、スタンドもうまく呼び出せない。
「これ、俺のを受け入れるために出てるんだぜ。まだ十七歳っつったら若すぎると思ったけどよ、立派に女の体なんだな、公子。もう、セックスできる体になってるんだ」
 避妊具もなしに、乱暴にそれを突っ込まれる。正常位の体制になると、押さえつけて無理やり襲っているという感覚がより強くなり、中でポルナレフのものが更に大きくなった。
「血、出てるな。じゃあ公子は俺しか知らないわけだな……一生」
 今確かに、主人公子の全てが自分のものになったのだと錯覚した。この体を、心を、好きにしてよいのだと勘違いした。それは頭がクラクラするような感覚だ。麻薬のような、甘くて危険な世界だ。
「イけよ。イったときに膣が痙攣するの、好きなんだよ俺」
 だが処女が乱暴にされるだけで絶頂を迎えることは決してない。欲望の赴くままに、それを擦り付ける道具のように扱われ、心身ともに傷がついた公子は無言で涙を流すだけだった。
「公子っ……なァ、気持ちいいか?公子、公子、公子っ!!」
 下半身に広がる感覚で分かる。今ポルナレフが動きを止めたのは、達してしまったからだなのだろう。満足したから止めた。それだけだ。
「ごめん……ごめんな、公子」
 その謝罪が、先に達したことへのものなのではないかと思うとぞっとした。ポルナレフが何を考えているのかと、公子はしっかりと彼の顔を見た。
 そして理解する。その謝罪が、公子をイかせられなかったことに対するものではないことを。だからといって、乱暴を働いたことへの謝罪でもないということを。
 ポルナレフは、謝罪することでまた興奮しているのだ。自分がワルイコトをしていると自覚して、好きな女性を傷つけられるのが自分だけなのだと思い込むために謝っただけなのだ。
(だって、顔がニヤニヤ歪んでるよ。ポルナレフ)


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