小説 | ナノ

※BAD ENDの続きです

 ヌケサクが公子の部屋へ食事を運ぶのは一日一回、昼食のみ。夕食はDIOと食べるし、朝食もDIOと食べる。夜間起きる生活に慣れないということで昼食も毎日頼んでおいたのだが、その理由は腹が減るからではない。
「公子さまー、お食事のお時間ですよーっと……」
 厳重に施錠された扉を開くと、机と椅子に主がいないのが見えた。先ほどまでは座っていたかのように、机の上には開いた本がうつ伏せになっている。
「あ、あれ!?公子さまー、公子さまー」
 慌てて中へ入るヌケサクの背後に、公子が音もなく飛び降りた。ここ数日、天井に隠れられるように仕掛けをしておいたのだ。あとはこの開いた扉を抜ければ、脱出完了である。

 一応館の人間にも見つからないように細心の注意を払ってルートを選択する。今まであんなに広く思えた屋敷内は、今日は不思議と簡単に出口にたどり着くことが出来た。その理由を考えようとしたが、今はそんなことよりこの場を少しでも早く遠く離れることが先決だ。
 だが玄関扉に手を伸ばそうとした瞬間、凍り付いてしまった。これは比喩ではない。本当に扉が氷付けになっているのだ。
「な……」
「危険ですよ、お嬢さん」
「あ、あなたは……」
「ペットショップ。私が出かけるから扉を戻してくれないか」
 男が外へ向けて声を出すと、扉の氷はみるみる融解していった。不思議なことに扉は全く濡れていないし床に水が溜まることもない。扉は何事もなかったかのように開閉するという仕事をいつものように行った。
「左の小指を出しなさい」
 言われて男の手に自分の手を添える。このちょび髭の男、顔の面影がどことなくあの執事に似ている気もする。
「よく見たまえ」
 男と共に手を外へ、陽光へ向けて差し出す。すると公子の指から細い煙が立ち上り、激痛が走った。
「きゃああ!」
「痛むか?再生に血が必要ならば与えよう。それともやはり若い女の血がいいのか?」
「な、何で……今の、何……」
「君はもう日光を受け付けない体になっている。詳しくは我らの主に聞いたほうがいい。ちょうどそこにいる」
「え?」
 男のが顔を背後に向けたのにつられて、公子も振り向く。逆光のせいで顔は見えないが、怒りや憎しみと言った攻撃的な雰囲気を感じる。この時間に起きているということは、公子が部屋を抜け出したことは随分前から筒抜けになっていたのか。
「それでは私は失礼する」
「ま、待って、私は一体どうなってしまったんです、待って……!」
 だが男は振り向かずに館をあとにした。扉は再び外界と公子を絶つために閉ざされ、氷よりも冷たく公子を突き放した。
「公子。昼は部屋から出ないようにと言ったはずだよなァ……?」
「も、申しわ……」
「君の謝罪が上辺だけというのがよくわかった。そんなにここから出ていきたいのならば失せろ」
「外……お、おかしい……指が……」
「裏切っておいて助けを求めるというのか?そんな恥知らずにはお仕置きが必要だな。それを受ける覚悟があるのならば付いて来て構わない」
「は、はい。DIO様のお仕置きを……受けさせてください……お願い、します」
 とうとう公子は、自らDIOを欲すると口にした。

 既にDIOの下半身が勃起していたのは寝起きのせいなのか、それともこうなることを知っていたからなのか。寝室には全裸になった公子がベッドの上で足を開いていた。今日のお仕置きのメインは、体よりも心を痛めつけるものだ。
「俺を本当に愛しているなら、強く求めるはずだ。俺がたまらず入れたくなるように扇情的に誘ってみろ。やり方がわからないのなら教えてやる」
 そう言われてこのポーズをとっているわけだ。太ももに下から手をかけ、左右に大きく開く。それを見るDIOの視線に耐え切れず、顔をそらして目を閉じた。
「どうして欲しい?」
「触れてください」
 スイッチを押すように、人差し指を軽くあてがう。小さく円を描くように指を動かせば甘い声が漏れ始めた。
「主にこんなことをさせるとは、とんだ淫乱だな」
「DIOさまが……!」
「ん?違うのか?本当はこんなことしたくないのか?」
 拒否すれば館の外へ放り出される。それは死に直結する。
「DIOさまが……ほしいので……こんなことをしてしまいます」
「やはり淫乱ではないか」
「はい、その通りです」
「淫乱だと自分で言うのならばもっと好きなように強請っていいぞ?ん?」
 あれだけ気丈に振舞っていた公子がとうとう泣き出してしまった。平手を打ったときの気迫はもう欠片も残っていない。
「許して……」
 堪えていた苦痛と悲しみは涙の粒を大きくする。シーツにポタポタと音を立てて落ちるのを、DIOの指が受け止めた。
「泣き顔も可愛らしいがな、扇情するには弱い。そうじゃない、俺を欲しがればよい」
(ああ……駄目だ。言葉が通じない。ううん、そんなこともっと前から分かってた。私はもう、こうやって、この人の“処理”をするしかないんだ)
 四つんばいの姿勢をとり、じりじりと体を後ろに下げる。DIOの性器に尻の割れ目をあてがうと、小さく上下に腰を揺らした。
「下さい……」
 涙を溜めた目で懇願すれば、先ほどの優しい手つきとは裏腹に叩くように腰を掴んだ。そのまま愛撫なしに最奥まで貫く。急激な摩擦に公子は声をあげた。
「そうだ。お前は外のことなど考えなくていい。お前の世界は俺一人があれば完結する」
 挿入したままで互いに腰を振れば徐々に水音が大きくなる。公子の方も圧迫するような質量のモノに体が火照り始めたのを感じた。
 このまま抜き差しをしても滑らかに動くほどに公子が潤い出したのを感じ、一度ずるずると性器を引き抜き始めた。下腹部が解放されていくような、息苦しさを和らげる感覚に安堵する一方で、最後の最後に亀頭が出入り口付近で引っかかるのを感じて公子の体は動きを止めた。あまり動いてこのまま抜けてしまうのがイヤなのだと、自覚がある。
(体がこうなってしまったから、せめて心はと思ってたのに……)
 引っ掛かりを除こうと、DIOの手が腰から性器へ移った瞬間。
「ダメです」
 公子は体を下げて奥へと誘導した。
「俺に命令するのか」
「命令ではありません……おねだりです。先ほど、好きなようにと仰ったので……」
「なるほど。可愛いところもあるじゃないか。ではいつまで入れておけばいいんだ?」
「いっ………………イかせて、下さい」
「お前をか?それじゃあ仕置きにならないな。俺が、イクまでだ」
 公子の全身に電流のような衝撃が走る。クリトリスをねちっこく何かが刺激しているのだ。だがDIOの両手は公子の腰に当てられている。玩具のような機械的な動きではないし音もない。頭を下げて垂れた胸の向こう側にある光景を見ればそれが何なのか分かるかもしれない。しかし確認する勇気がなかった。
 自分が人外へと変貌してしまったことも今日はっきりと分かってしまった。これ以上人知を超えたものについて理解を深めたくない。
 肉の芽は公子の見えない場所で触手を伸ばし、クリトリスを擦り、締め上げ、溢れる愛液を飲んでいた。その感覚はDIOには伝わっていないが、先ほどから公子の中がぎゅうぎゅうと締め付けをきつくしている。
 DIOもここに至るまで我慢を重ねていた。先ほどは自分がイクまでなどといったが、これでは公子よりも早く達してしまいそうだ。慌てて肉の芽の刺激を更に強め、更に数を増やして乳首を刺激し始めた。
「あっ……DIO、さまっ……も、もう……無理です。汚してしまいます」
「構わん。出せ」
「はっ……いっちゃう!」
 と言葉にする直前に、既に公子の股からは潮が噴出していた。早鐘のように脈動する公子の体内の震えに呼応して、DIOも中で吐精する。
「くっ」
「あっ……中……」
「なんだ、私の精液が欲しいわけではなかったのか?」
「……いえ」
「だったら言い方を考えるんだな。どういえばいいと思う?」
「……ありがとうございます。私の中で、出してくださって……」
 うつろな目でそう答える公子の姿を見て、魂の抜けた掠れた様な声で呟くそのセリフを聞いて、DIOは公子の中で再び勃起した。


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