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承太郎短編「目撃」の続きです


 フープの能力は実は攻守両方の能力に優れる。まず手足どちらかの指に触れれば通り抜けられるわけだから、大きな岩を公子に飛ばしてもまず当たらないし、腹に触れて人体を通り抜けたときに能力を解除すれば素手で腹部を貫通して殺すことが出来る。
 が、もっともそんなグロテスクな使い方はしたくないので今まで試したことはない。もっぱら移動時に利用することが多いのが公子のスタンド能力だ。例えば、今。
「承太郎、私が壁抜けで先回りするから挟み撃ちにしよう」
 壁に触れたところから波紋が広がり、液状化したそこに顔を突っ込んだところで、敵の声がする。
「休め!」
「え?」
 公子は自分のスタンドが勝手に消えてしまった感覚を覚え、慌てて振り向く。が、目に映るのは壁ばかりだ。
「ちょちょ、ちょっと!フープ!おいで!あれ!」
「公子、落ち着け!」
「承太郎、どこにいるの!?」
「壁の向こう側だ。俺のスタープラチナが突然消えちまったが、ひょっとしなくても公子のフープも……」
「うん。中途半端なところで消えちゃったから、能力が……」
 二人のスタンドが消え、能力は中途半端な発動で止まっている。先述した例の腹部貫通というような事故こそ起こっていないが、公子は壁に頭を突っ込んで、通り抜ける途中で固まっているという状態になってしまった。
「痛むか?」
「ううん。ただ、動けない」
「だろうな」
 絶対にありえない話なのだが、泳いでいる途中水が全て氷になれば、動けなくなるだろう。公子はそれに似た状態に陥ってしまったと考えていい。氷と違い冷たくないのが唯一の救いか。
 体勢としては、直立状態から腰を曲げ、腹のところに壁があるという具合だ。ちなみに手も動かせない。足はばたつかせられる程度だが意味はなさそうである。
「公子ー」
 そこにジョセフの声がする。
「スタンドを封じられた!ここはわしの波紋でなんとかする!承太郎、公子は身動きがとれんから、もしヤツが戻ってきた場合お前が公子を守れ!素手で!」
「ああ」
 背後で声がする。どうやら壁の向こう側に二人ともいるようだ。壁の向こう側、つまり、公子の足がある場所ということだ。
「公子、辛くないか」
「へーき」
「そうか……しかし俺がヤバイ」
「え、もしかしてケガした!?」
「違う、お前が尻を突き出した状態で一切抵抗できないって考えちまうようなやばさだ」
 その言葉を聞き、慌てて足を閉じるも遅かったようだ。腰に触れる承太郎の大きな手が、円を描くような動きをはじめた。
「誰もいねぇし、お前は動けねぇし……なあ、前俺の自慰を見ただろ。今度は公子の恥ずかしいとこ見せてくれよ」
「あ、あれは不可抗……ちょっと、脱がさないで!」
 ズボンが足を滑り落ちる。下着だけという頼りない守りは外気に晒され鳥肌が立った。
「上半身を愛撫出来ねぇのはもったいないが、まあ、しゃーないか」
 下着のツルツルした手触りが余計にくすぐったさを増す。臀部を丹念に撫でていた手は中心部分を擦り始めた。動きに合わせて公子の足が暴れるのを満足そうに見つめると、一気に下着をずり下ろす。壁の向こうで悲鳴が上がった。
 承太郎が膝を突き、帽子を取る。半開きになり荒く呼吸をする口から真っ赤な舌がヘビのようにうねり、ワレメをなぞりながら顔を尻に埋める。公子の悲鳴が羞恥から恐怖に変化するが、気にも留めず舌で性器を弄り続ける。
 見えない事が恐怖をやわらげているのか、それとも逆か。公子は感触だけで今何をされているのかハッキリと理解してしまい、動かない手で必死にもがく。ずるずるという下品な音が壁越しに聴覚を刺激する。
 どんなに暴れても壁と同化しているのだから抵抗の仕様がない。だが諦めてしまうと、思考が快感を受け入れることに一気に傾いた。そして思い出す。以前ホテルで自分の名を呼びながら必死に擦っていた承太郎のアレを。
(あ、あんなのを……もしかしなくても、いれるつもり……だよ、ね?)
 あの質量に恐怖する思いと、早く来て欲しいとひくつく思い。どちらも同じくらいに湧き上がる。自分がそんなみだらなことを望んでいるということに驚きながらも、承太郎の愛撫を受け続けるとそれを咎める理性はゆっくりと溶け落ちる。
 ぬめぬめとした舌が刺激していたクリトリスに、新しい感触が走る。一体何で擦られているのか、それはすぐに分かった。
「いれるぜ」
 と言いながらも既に先端は触れている。下腹部を圧迫されるような痛みに唯一動く足が何度も地面を蹴りつけたが、下手に動けば痛みは増すばかりだ。
「なぁ……俺のアレを見てからお前全然態度が変わんなかったけど、見慣れてるのか?」
「うぐ……」
「なわけねぇか。こんだけキツいってことは、そんな遊んでるようなわけでもねぇようだしな」
 一応公子も気を使って普段と変わらぬ態度をとっていたのだが、どうやら見当違いの誤解を生んでいたらしい。それに見慣れたとは言いがたいがあの日あんな場面を見たのは承太郎だけじゃない。
「公子」
 公子の頭側に、花京院がやってきた。その目と下半身は既に公子に何が起こっているのかを理解しているようだ。
「承太郎、そっちにいるんだろ」
「あ?」
「君ばっかりずるいな。でも向こう側は承太郎が占領してるようだから、こっちは僕が楽しんでもいいよね」
 ジッパーが降りると、下着の色が覗いた。口に押し込まれるそれに噛み付いてしまおうかと思ったが、あごが戻らないようにハイエロファントが押さえつけている。
「ん!んんんんー!んんっ」
「何?ああ、スタンド?僕は敵の攻撃を受けてないからね」
「おい花京院、だったらテメェは敵を追えよ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないと思うよ。もうじき敵はジョースターさんにやられる。急いだほうがいいんじゃあないか?」
「味わってる余裕ねーってことか」
 二人が同時に腰の動きを早める。呼吸を止めるかのように奥へと侵入する花京院と、こじ開けるように強引に押し込んでくる承太郎。苦しみや痛みを紛らわせるように痺れるような感覚が押し寄せ、その向こう側に恍惚が一筋射す。
「んんんーっんっ」
 頭を持ち上げられて花京院と目が合う。優しい笑みを湛えながら、彼は公子の顔を見つつその口内に射精した。苦味が口いっぱいに広がるもそれを吐き出す出口はまだ花京院によってふさがれている。反射的に口の中のものを飲み込み、かわりに目から涙を流した。
「僕の……飲み込んで……」
 うっとりとそう呟くとようやく口から自身を引き抜いた。だがまだ壁の後ろ側の方は自由になっていない。激しく腰を打ち付けていた動きは緩やかになったが、それは陰茎内に残っている精液を搾り取る最後の動作なのだと気づき、公子は顔を青ざめさせた。
「……つけて、くれたよね?」
「さぁな」
「じょ、冗談でしょ!」
「そう騒ぐな。さすがにナマじゃねぇよ」
「ほ、本当!?」
「そんな疑うんならほれ」
 まだむき出しになっている臀部にぺちぺちと何かが当たる。生暖かく、柔らかい何か。
「使用済みのだ。それとも実際に見てぇか?」
「捨てて!」

 それから数分後にスタンドは姿を取り戻した。壁からはいでた公子は今まで試したことのなかった腹部貫通を試みるべきかと考えるも、ニヤリと笑う二人の高校生を見て下半身に疼きを覚えることもまた事実だった。


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