アスペラル | ナノ
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 過去など過ぎ去った遺物。

 とうに消え去ったもの。

 それなのに耳を塞いでも、目を固く閉じても、消えたりはしない。

 重たい足枷はまだ自分を繋いだまま。

 もし光届かない深海で漂う魚だったなら、ずっと暗い世界で何もしないで居られるのだろう。
 見たくない世界など見向きもしないで。
 だけど、それでも無意識に天上の微かな光を望んでしまうんだろう。
 手は届かないと知りつつも、藻掻き苦しみながら。


第21幕 深海の魚



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