バルバッド編



「なぁ、俺の事思い出してねぇの?」
「いやお前は思い出しているつもりだよ。でも、アレだよ。出会いが思い出せないんだよ」
「はぁ!?衝撃的だったじゃねぇか!」
「衝撃的?あぁ、確かにアレは衝撃的だったな。私お前の全裸見ちゃったからね」
「いや、見せてねぇよ」


全く全身しない会話にジュダルは苛ついたように腰に手を当てて少し目を細めながら俺が空を飛んでいた時に落ちてきただろうがと言えば、周りの人たちは空から落ちて?と疑問が頭を占める中、ナマエだけはハッとしてジュダルを見つめ、指を指した。


「お前、あの時の幸薄野郎か!」
「だれが幸薄だ!」


衝動的に魔法をナマエに放つかもしれない感情を少し抑えたジュダルは大人の心を少しは持っているかもしれない。
思い出したんですねと嬉しげにナマエに問いかけるアリババはそのあと一体何があったんですか?とさらに追及した。


「確か、落ちたらあいつにぶつかってさ、そしたら勝手にキレたんだよなお前」
「いきなりぶつかられて、謝りもせずに落下地点にいたらこうなるとか言ってきたら誰でもキレるだろうが」
「はぁ?私は好きで落ちたんじゃありませーん。それに、お前だって私を突き飛ばしただろうが」
「ムカついたからな。暇つぶしに迷宮に落としただけだろ」


言い合う二人に知りたかった単語が出てきたアリババはすかさず会話へと入っていった。


「ほら、迷宮に行ったんじゃないですか!」
「だから、知らんし」


迷宮って何だよ。お前しつこいと言いながらアリババの頬を引っ張るナマエに痛い痛いと訴えるが弱まることはなかった。
仕方がないので、引っ張られたまま落ちた先はどんなところだったかを聞くアリババにナマエは確か、人間じゃない天人みたいな生物がいたと答えて、それは迷宮生物と言い、その場所を迷宮と言うのですと教えてへぇと呟いていた。


「ダンジョンってゲームの話じゃなかったのか」
「それより、迷宮生物もいたのに、よく無事で、しかも何も思わずに迷宮に居ましたね」
「あぁ、あの生物?あーいった見た目ってぶっ飛ばしたくなるよね。でさぁ、最初に一発締め上げたらぁ、あいつら良くしてくれたよ?私恩師には何事も最初が肝心ですよと言われていたから実行したんだよねぇ」


笑いながら話すナマエに、きっとナマエの言う恩師はそんなつもりで最初は肝心だと言って教えてはいないと誰もが口に出したかった事をナマエはこの先も知らないままだろう。


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