バルバッド編



ジュダルがナマエを見ているが、ナマエは気にも留めずにアリババの元へと行くとお前なんでそんなボロボロになってんの?なんかこの場所と一体化出来そうだよと言いながら座り込んでいるアリババを見下ろした。


「ナマエさん、ちょっと今そんな状況じゃ」
「え、何、もしかして苛め?ダメだぞアリババ。お前はもう下の毛も立派な年頃だろ。だったら立ち向かわなきゃさ」


真剣な顔で、見当違いな見解に、最低なアドバイスで背中を押すかのように口にするナマエに、マジでこの周りの状況を見てと言おうとアリババが口を開くより先にジュダルの言葉が遮ったのだった。


「せっかくこれからが楽しくなる所だったのによ、誰だよ」
「……」
「無視してんなって!女!!」
「………」
「ちょっ、ナマエさんの事ですよ」
「え、私?」


まさか自分に声を掛けられると思っていなかったナマエは、アリババの言葉に驚きを隠さずジュダルに向き合って自分の顔を指さして訪ねると、流れ的にお前しかいねぇよとその場に居たナマエ以外の全員の心が一つになったのだった。
真正面からナマエの顔を見たジュダルは驚きに目を見開いてお前あの時と呟くその姿に、唖然と様子を見ていた周りが何だ何だと、どよめき始めた。

その場の空気に耐えきれたかったのは指の爪が伸びて来たかな?と爪を凝視しているナマエではなく横に居るアリババで、アリババは小声でナマエにジュダルのこと知っているんですか?と聞くと、え?と呟いた後数秒経っても続きの言葉を何も言わないナマエにもしかしてと最近の自分と被るあの仮説がアリババの中に過ぎり、口の端が引き攣っているが、今は誰もアリババに目が行っていないのか気に留める人はいなかった。


「なぁお前、あの時の女だろ!」


楽しそうな声色を含みながらナマエに声を掛けてきたジュダルの表情はどこかと聞かれれば困るが、一瞬だけ高杉と重なった気がしたが、ナマエはそれどころではなく、内心冷や汗が止まらずにいた。
アリババの予感的中である。


「(あんれ?コレ完全に知り合い感ハンパないよね。えっと、誰だっけ?田中君だっけ?って、周りからもどんな関係だよ的な感じで見られている気がしなくもなくもないかもしれないって、どっちだ?いやいや、今は周りに気を取られている場合ではないぞナマエよ。思い出すのだナマエ。松陽先生は言っていたじゃないか、私はやれば出来る子だと!!最後まで頑張ることが大切だと!!考えるんだ。アリババもカシムもチンもそうだった。名前はカタカナ系だ。こいつの印象は黒、クロ、くろ、ブラック…コーヒー飲みたくなってきたわ。はっ!?)ダリーズ」
「ジュダルだ」


バルバッド特有の霧がかった風が広場全体を通り過ぎて行った。


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