バルバッド編



「(なんでだよ。なんでなんだよ。俺の言葉は届かない!もう、どうしたらいいんだ!!)」


俺には何があるんだよ。アラジンは良いと言ってくれるが、シンドバッドさんが居てくれたおかげでスラム街の皆からの不安を跳ね除けてくれている。アレが一国の王。
逃げ出した俺とは違う。カシム……どこ行っちまったんだよ。ナマエさん、なんで帰ってこないんだよとアリババが思っていた時に空からシンドバッドを呼ぶ声がして、そこにいた誰もが声の発生源である空を見上げると、ジュダルがそこに居た。

シンドバッドに話しかけているが、どこか警戒しているシンドバッドに何故かしら動揺しているアラジンの姿。
何しに来たと懸念して訪ねる言葉に、何言っているんだよ言うようにシンドバッドの言葉を流して、戦争の、戦いの楽しさを語りだすジュダルの姿に軽く息をのむアリババ達がそこにいた。
ジュダルの一方的に楽しげに話しながらシンドバッドに語りかけていた時、何かに気が付いたのか言葉を研ぎらせて振り返ると、アラジンを見つけたのだった。
アラジンがマギだということを知ったジュダルは最初は信じられないとばかりに言葉を紡いでいたが、ヨロシクと人のよさそうな笑顔を浮かべてアラジンへと握手を求めるように手を差し出した。
アラジンはその手を取ろうとしたその瞬間、差し出されていたジュダルの手はあろうことかアラジンの右顔を殴りつけたのだった。
その瞬間先ほどまでの空気とは変わり、ジュダルに警戒心を抱くことになった。


あっという間の展開だった。
アリババが迷宮攻略者と分かると同時に、昼間相手にされなかった奴だと気が付けば次々と貶す言葉の数々に反論も出来ずに唇をかみしめる事しか出来なかったアリババの代わりにアラジンが抗議すると、信じられないと言いたいようにジュダルの魔法でアリババが何をするのか視界するよりも早くに飛ばされていた。
そして、あっという間にアラジンとジュダルの戦いへと発展していた。
周りは慌てて逃げていく中、アラジンの放った攻撃がジュダルの幕を無くし、やめよとジュダルが言葉を発して周りが少し静まった時、場違いのようなナマエの声がそこに響いたのだった。


「なんかちょっと騒がしくね?っつーかこんな夜にみんな揃って何してるの?なんか煙たいし、キャンプファイヤー?」


視線を向けるとそこには頭を掻きながら歩いてくるナマエの姿がそこにあった。


「ナマエさん!」
「ん?そんな期待した声色で名前呼ばないでよ。ゴッドハンドになり損ねた私に対する嫌味ですか?で、何してるのさアリババ。ここってこんなにボロボロだったっけ?アレ?いやボロボロだった気もする。うんそうだそうだ」


いやぁ、ゴッドハンドになり損ねちゃったよと言いながらアリババの方へと向かって歩くナマエに、シンドバッド達は唖然として、アリババは少し驚きを隠せずにいて、ジュダルは今からがいいところなのにと不満そうにアリババへと向かって歩いて行くナマエの後ろ姿を不満げに見つめるのだった。


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