バルバッド編



どうしたことか、アリババのデフォルメが単調に描かれたようなオーラを身に纏いながら、光のない目でナマエがどこに行ったのをどことなくあそこだろうなと考えていたが、次にシンドバッドが発した言葉でアリババは確信してしまったのだった。


「そうそう彼女の行方だが。マスルールによれば彼女は『うなれ私の右手よ、今こそ黄金に輝け!そう今日の私はゴットハンドナマエになるんだぁぁ』という言葉を叫びなら走って行ったようでね、その時の彼女の目は真剣そのものだったらしい。あぁ、そうだったね。肝心の彼女が向かった先は」
「あの、シンドバッドさん」
「ん?どうかしたかな?」
「えっと、その、もうその先を言わなくても分かってしまったので大丈夫です」
「場所を言わなくてもいいのかい?」
「イイデス。オレ、ゼンブキヅキマシタカラ」


目が死んできたであろうアリババの心中を察したのか、それ以上ナマエについての事をシンドバッドが口にすることはなかった。
影まで背負い始めたアリババにシンドバッドは心の中で、このままでは明日の会談も危ういな。今日はとりあえず寝てもらった方がいいと考えていたが、シンドバッドがその事を口にするよりも早くにアリババが、すみませんが俺寝ますねと発したことに驚いたシンドバッドは大丈夫かい?と疑問を口にしたが、一向に影を背負ったまま今は何故だか眠りたい気がして堪らないんですという言葉が返ってきて、違う意味での大丈夫かいと口に出しそうになったが、あえて言葉にはせずに、部屋へと戻って行くアリババの背中を見送ったのだった。

そんなシンドバッドの背中へと声を掛けたのはジャーファルであり、彼は二人の会話を黙って聞いていたのだった。


「シン」
「どうかしたかジャーファル」
「いえ、行き先も分かったのに関わらず、何故もう一度マスルールを彼女の元へと向かわせたのですか?」
「少し気になってな」
「それは……どういった意味で?」
「違うぞジャーファル!お前が心配する意味ではない!」
「本当ですか?」
「もちろんだ。だからその疑いの眼差しをやめろ。俺を信用していないのか!!」
「王としては信用していますが、女と酒に関しては一切しておりません」
「言い切ったな。だが、本当に違う。俺が彼女を気にしているのは、偽名を使ったからとかではなく、彼女は強いと感じたからだ」


強いですか?と聞き返すジャーファルにシンドバッドは、確証はないが戦いを知っている感じが彼女からして気になって彼女の行動をずっとではないが、明日の事もあるし数時間ほど少しだけマスルールに見張らせていると言ったシンドバッドの目は少し細められていたのにジャーファルは気が付いていたが何も言わずにいた。


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