バルバッド編



ナマエがアリババ本人だと理解して、色々会話をしていて、明日王宮に行く経緯も話すと俺がこの国の第三王子だからと告げると、ナマエは驚きに声を上げた。


「えぇっ!アリババ王子なの?」
「うん。でもナマエさんが居た時にはまだ知らなくて、ナマエさんが居なくなってから王宮から迎えが来てさ」
「マジでか!うわー、アリババが王子とか……ぶふっ」
「笑うなよ!どうせ似合ってないとか思っているんだろ」
「アリババがカボチャパンツ……ブフッ」


ナマエの頭の中でタイツにカボチャパンツを吐いている姿を想像して、あれ意外と似合ってるんじゃね?と思ってしまった事に笑いが止まらなくなっていた。
一方笑われているのが王子として似合ってない事だと思いムッと不機嫌となりつつも聞きなれない言葉になにそれ?と聞くと、え知らないのと驚いた顔をしたナマエに知らないと呟いたアリババにえっとね、こういうのだと言いながら砂に書く絵。なんだか無駄に上手く、顔がアリババになっている。
その絵を見てアリババはそんなの穿かないよと言うとナマエは少し寂しげにそうなんだとガッカリしていた。


「どうしてガッカリしているのかは聞かないけどさ、その、ナマエさんは何も思わないの?」
「何を?あぁ、アリババのカボチャパンツ?見たいとは思うよ」
「それから離れてよ!だ、だから、その、俺がこの国の王子ってことに…」


あぁ、そっちかと言うナマエにそれ以外ないだとうがと心の中で思っていたのはアリババだけの秘密だ。


「アレじゃね?実感がないってのもあるけどさ、私が出会ったのはスラム街で笑って泣いて頑張っているアリババだし」
「アリババ君はいい人に出会っていたんだな」
「そのようですね」


そんな会話を未だに遠くから立ち聞きしているシンたちはこの時、初めてナマエに感心した。
そのまま続けているナマエの言葉に優しさを滲ませながら耳を傾けているが、最後は何とも言えない目を向けていた。


「たとえ王子だろうとスラム出身だろうとでもアリババはアリババに変わらないでしょ?」
「っナマエさん」
「って言えば好感度上がるって本で読んだことがあるんだけど本当?今急上昇してる?」
「それ言っちゃダメなやつ!好感度急降下だから!」
「ま、アレだね。アリババが王子だからって距離置くと思ったのか?態度変えるとでも思ったか?バカだな。あ、肩でも揉みましょうか?」
「下手に出てるし、考え全て見え見えだし!ちくしょー、俺の感動を返せ!」
「泣くなよ、冗談だし」


ツッコミ力が本当に急成長を遂げているなと言ってゲラゲラ笑うナマエにつられてアリババも笑うのだった。


前へ 次へ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -