バルバッド編




そして、ナマエの目がアリババを捉えるとあという口の形になったのを見たアリババはもう迷宮を攻略したときと同じような高揚感を感じている。


「あ」
「あ?」
「アーリババ…」
「そう!」
「のお兄さんか」
「やっと思い出してく……へ?」


あれ?今なんて言ったと立ち上がって喜びを表現している途中でおかしな言葉が続いたことに気が付いたアリババは、もう一度言ってくれねぇかと催促すると、ナマエはアリババの兄でしょ?っていうか、兄がいたんだねと呟いてうんうんと頷いて勝手に納得している。
そんなナマエについに崩れ落ちたアリババは涙を流しながら、俺がアリババ本人だよと嘆いたが、え?なんて?聞こえなかったと聞き返すナマエにだから俺がアリババ本人だってば!と怒鳴りつけた。


「え、お前が?いーや騙されんぞ!」
「何でだよ!ちょっと何で疑った目をしてるの!」
「アリババ?」
「うん」
「あの?」
「うん」
「アリスちゃんの異名を持つ?」
「………うん」
「なぜ躊躇う」
「俺の黒歴史だから」


沈黙が二人を包むと。もちろん周りの皆は様子見として(中には出来る限り関わることを避けた者もいるが)見守っていたことから、二人が黙ると必然と沈黙が訪れる。
何とも言い辛い空気になっていたが、ナマエがだってと言葉を続けたことから沈黙は破られた。
私の知っているアリババはこのくらいだったぞと自分の腰下あたりの位置を示すと、すかさずアリババのツッコミが入った。


「それ俺が小さい時だから!あれから何年もたっているんだから俺だって成長するからいつまでもこのくらいな訳じゃないの!!」
「それに、私の知っているアリババはそんなにツッコミ力はなかった」
「成長したってば!!」


それからアリババは、自分とナマエと過ごした日々を思い出しながら伝えたり、何年経ったとか伝えて、どうにか自分をアリババだという事を確信するまであと数分必要となるのだった。


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