バルバッド編



アリババの角がピンと天に伸ばしながら叫ぶが、ナマエはうるさいと言いながら持っていた木刀でとりあえず一発殴って黙らせたのだった。
もちろんいきなりの攻撃により周りはざわついたが、ナマエは鼓膜が破れたらどうするんだと耳をほじっていて、とりあえずこれ以上の攻撃が無いことから様子見を続けることになっていた。


「イタタタ。酷いなナマエさん」
「うんナマエさんだけど、なんで名前知っているの?ストーカー?」
「違う!!って、えぇ!?冗談じゃなくて本気で俺の事気が付いてないの?」
「何言っているんだ知っているよ。アレでしょ?アレ」
「…ナマエさんの得意技である適当な会話で乗り切ろうなんて思っていないですよね?」
「……何言ってんだよコノヤロー。私がそんな人間に見えるのか!」
「今までの経験と思い出からだと……」
「で、誰?」
「もう。ナマエさん俺の事探してたんでしょ」
「ちょっと君さ自意識過剰とか痛いよ。自分をちょっと見つめ直した方がいいよ」
「ちょっとはもう少し思い出す努力くらいしてよ!!」
「え、努力はしてるよ?どこで会いましたかねぇ?」
「ほら、ちゃんと俺を見てよ!ね?ね?このツノとか、この赤い紐とか……」
「ん?んー」


ほら、ほら、と自分を指差しながら思い出してと願うアリババに対して、顎に手を当てて、首を傾げると、頭上にたくさんのクエスチョンマークを浮かべるナマエの姿を見て、目に涙を溜めながら斜め後ろで様子を伺っていたアラジンを見つめて俺ってそんなに印象薄いのかな?と訪ねてはオロオロしながらそんなことないよ。僕と会った時みたいに顔を覆っていたらどうかと思うけど、今はそのままだし、アリババ君はアリババ君だし、きっとあのお姉さんの問題な気がするよと言われて、だよな!俺、久しぶりにカシムに会ったときだって気が付いたし、ナマエさんの記憶力の問題だよなと自分に言い聞かせていた。

落ち込み、髪をガシガシと掻いている姿をガン見しているナマエに少し居心地が悪くなりつつあるアリババは気まずげに眼を逸らす姿に何か思い出せそうになって、あっと言葉を漏らすとすかさず反応したのに気が付くとアリババは期待を胸に抱いてナマエを見つめた。
もしかしてとさらにナマエの口から言葉が続けば、アリババの目は期待を含み、落ち込んでいた気持ちを一気に持ち上げると、そうだよナマエさん!!と身を乗り出しながらさらに続くナマエの言葉を待った。


「そのツノに、その金ぱっつぁん」
「うんうん」
「そして、女顔に、庇護欲を掻き立てるような泣き顔」
「う、うん?うん」


あれ?俺あれから成長したのに、未だにナマエさんの中の女装した時の昔の俺と被るの?と嬉しいのか悲しいのか分からない感情を持ちながらナマエの言葉を待っていた。


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